BEAST完全版を読みました。
*2019年4月6日の記事を転載しています。
ようやく読めました、とりあえず35先生の絵がころしにかかってくる、おぇっ。
実はBEAST、ジャンルから離れている最中にお友達にお借りしたのですが、私が愚図なばっかりにお返しする直前に読み始め、電車の中で読んで「!?!?」ってなって読み返す間無くお返ししたという、いきなり鈍器で殴られて何がなんだがわからないうちに去って行ってぽかーん、みたいなところがありまして。
しかもジャンルから離れてたので界隈の状況とかも知らなかったのですが……今戻ってTL眺めてて色々御察ししてしまいました。
今回、映画特典のを一度読み返しているのですが、二回目に読んだ時はどちらかといえば通り魔の犯人の顔がモンタージュ写真と合っているか確認する作業的な役割が大きく、あまりガツンと来なかったんですよね……黒の時代は二回目読んだ時のガツンさ加減が本当にひどかったんだけども。
まず、追加シーンの森さんやばくないですか……?
本編途中で太宰の口から『森さんの後をやむなく継ぎ』って出たところで「これはおかしい、森さん死んでるとしたらこれは自死? 太宰が殺した訳ではないしこの言い方何かあるよね」って思ったら最後のあのシーン。
朝霧先生はあくまでも、太宰と芥川がどう生きていくかを書きたかったのかなと思ったので、敦君のその後が描かれているのに対し嬉しさはあるんだけど私としては、もう太宰の息の掛からない探偵社で少しずつ人間になってほしいなと思いました。
『織田作なら、うまく取りなしてくれるだろう』のセリフが消えてしまったことも悲しいです。
探偵社の織田作と、敦君見たかったなぁ……。
あ、でもまって、びの織田作では二人を光の世界には出せないってこと……それに森さんなら出せるってこと……それもそれで……うーん……!!
後はTwitterで先に言ってしまいましたが、太宰のセリフが『記憶を受け取っている』が『記憶を読み取る』に変わっていたのってすごく重要だと思うんですよ、うーん、違うかもしれないけど、ただ言い回し変えただけかな……。
ビ太宰は何のために特異点を発生させてわざわざ記憶を受け取ろうとしたのだろうか、それが森さんの死に繋がると思うのは突拍子も無いかな……たとえば、森さんの死を回避するために情報が欲しくて外の世界に求めた……そうしたら織田作之助という運命を狂わせる男の存在を知ってしまった……みたいな……。
あと、流れ的にミミック戦の時は森さんまだ生きている、のかな?
『船上の会合=ミミック戦の取引=その時の首領は太宰』だと思ってたから、ミミック戦の時には森さんは死亡(と扱われた)だと思ってたんだけど……この会合が四年前でしょ、四年前に新任?
二人と太宰が接触してるのが四年半前……ミミック戦はそれより前……?
うーん……太宰が織田作に言った言葉の並びからしてミミック戦→森さんの死の順かなと思ったんだけど、このミミック戦が特異点絡んできたら四年半前からの計画とは合致しないんだよな……龍頭抗争の時に太宰は特異点の存在を知って、自分も特異点干渉したのかな、それこそ実験的に。
まぁ太宰が『本当に自分から受け取った』のだとしたらここまでの話は全く意味が無いのですがね。
なんとなくなんですが、このお話は朝霧先生的に正解があったとしても惑わせる言い回しを沢山使って本質を隠して、正解が出ないようにしているような気がしてならないんですよね。
だから考察したところで仕方ないとは思うんだけど、BEASTに関しては「わからない」事が多いんですよ、多分それを狙ってると思うんだけど。
織田作の過去だって出てきてないから殺し屋かもわからないし、織田作の昔の仕事に懸賞金が掛けられているという部分を見るとやっぱり殺し屋なのかなぁとは推測できるけれども……しかし、夏目先生の本に感化された織田作が殺しを辞めるまではわかるとしてその後、どういった経緯で探偵社に流れたかがわからないんだよな……黒の時代みたいにマフィアに行ってほの暗いとこで生と死を見つめ続けてたら小説家になるってのはわかるんだけど、なんで探偵社に行くことになったのだろうってなると何か探偵社に入る直前で織田作の身にも太宰の身に起きたような何かがあったのかな、とか、でもそれも違う気がするし……と、とにかくわからない! ってことが多いんだよな……うーん。
孤児を育てる為の収入源もわからないし、織田作だけ単独行動をしてるのみると、織田作は探偵社のグレーな仕事の黒に近い方を一人で請け負っているのかな~とも思ったり。
その分を少し上乗せして貰っているとか? うーん……、あんまりしっくりこないんだよなぁ……そもそも殺し辞めてるのかな……私、びの織田作ってすごく単調だと思うんだよな……まだお人形さんが抜け切れて無い気がするんだ……。
書きたい話がひとつだけある、ってのも夏目先生の話の切り取られた部分のことを指すのかな、とか。
私、本編織田作が本を出すときは友情の話を書くと思っているのですが、びの織田作にはそれがないから『殺し屋が殺しを辞めて人を救う話』を書きたいのかな……でも今の織田作の救済ってなんだろう……結局、敦君への救済という意味では太宰の方が救う側にいるよね、それは織田作から遺志を継いだ記憶を受け取っているから……?
書きたい話がひとつしかない織田作がどんな話を書くのか非常に興味があります。
あと気になったのがバーのシーンで、太宰が名乗ってるのに織田作が何も興味を示さないこと。
二年居たらポートマフィアの首領の名前くらい織田作も知ってると思うんだけど、名前でぴんとこなかったのかなぁ……とは思いました、けどこれは展開の都合かな、とか。
こうやって考えていくとBEASTは、原作との絡みが一切なければ普通に読み物として面白いんだけど原作の展開ありきで考えると『何処が違うんだ』『本質はなんだ』ってすごく考えちゃうので、こう、まだ、上手く消化できてません。
ただ、織太を見てきたものとしてはバーのシーンのセリフ一々がしんどかったし、太宰が織田作の為に消えるって展開もしんどかったし、本当にすごい同人誌見せられているような気がして……とにかく凄かった、なんも言えない、でしかないんだよな……。
最初に読んだ時の私の感想がひたすら
「太宰が怖い」だったんだけど今の私は割りと「織田作が怖い」です。
得体が知れないんだよな……部下思いなのはわかるけど……うーん。
仮にこれを谷口さんが演じたら、部下思いの熱血お兄ちゃんみたいな織田作になると思って、そうしたらすごく「織田作って佳い人間だからな……本質が善だったのかな……」みたいに思うかもしれないんだけど小説だけで見ると本当に「織田作って何者なんだ……」ってなるんだよなぁ。
でも織田作のラフだけ本編と変えていないっていうのも、本編に近い人間像であるから、だとしたらこれが織田作之助の本質なのか……うーん……、と、こう、まだ消化出来て無くてぐじゅぐじゅするんだよな……これを消化させたくて書き始めると止まらなくなるって私知ってる……。
長くなりましたし、なんかもう何を話したかったのかわからなくなってきたんですけど、個人的には完全版の完全版欲しいです!!!!!って感じでした。これから皆さんの感想見て、自分でも書いてみて、少しずつ消化していきます。
それにしてもびの敦鏡は可愛いですね。
あとやつがれと賢治君のお話も見ていて癒されました。