吃る

コンビニ店員は言った。
「レジ袋ご利用されますか?」
「お願いします。す、すすストローもつけてください。」

よく晴れた日だった。

前日夜更かしをしてしまい、寝ぼけ眼といった様子で俺はコンビニに行きカフェオレと水を手に取った。
よく慣れたコンビニだ。

空いていれば入店から退店まで1分ほどで済ましてしまうくらいには行き慣れている。

だがその日は違った。
いつもと違う店員だ。
新人か?
そう思った。
それと同時に心の中で何度も復唱した。

「袋1枚お願いします。袋1枚お願いします。袋1枚お願いします。」

言葉が生き急いだ。
見事に店員と俺の言葉が被る。

「ふくr…」レジ袋ご利用されますか?」
「お願いします…」
感情が乱れた。

やっちまったと1人で勝手に反省をしていると、ストローが入っていないことに気がつく。
「す、すす…」
あー、はじまった…

予期せぬ不意なイベントが起こるとすぐにこれなのだ。

俺が俺自身をコントロールできないと感じて非常に情けなく感じてしまう。

他人はいちいち気にしていないと思うが、やはり羞恥の念が自身を蝕む。

なおしたい。そう思った。

俺は専門的な知識もなにも知らない。
そこで、なぜこのような現象が起こるのか自分なりに分析した。

結果、頭の中で上手く整理できてないからだと気がついた(ネットで調べれば簡単にわかるのだろうがそれをしない頑固者)

まるで発声するかのようにイメージする。
ゆっくりと穏やかに心の中で発声する。
そして実際に発声する。

まるで音楽のようだ。

そう考えると自分の音をなおすことがとても楽しく感じてきた。

むしろ、この吃りもある種のグルーヴなのでは?とさえも感じてきた。

そのおかげなのか最近では、自分の吃りも個性だと感じられるようになった。

結局のところ自分をどれだけ受け入れられるかで生きやすくなるんだなと感じた。

ずっと俺の中でモヤモヤしてたことだから長くなったけど、なんだかんだ自分自身を楽しめてるから結果オーライだよな。

以上。






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