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コレクション展は楽しい #02 アーティゾン美術館

「コレクション展は楽しい」の始まり

昨年アーティゾン美術館で開催された「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(2023.06.03土~08.20日)は、コレクションの魅力と可能性を教えてくれた展示だった。

それがきっかけで「コレクション展は楽しい」と思うようになり、各美術館のコレクションに注目するようになった。

今回は企画展「ブランクーシ 本質を象る」と同時開催のコレクション展を観て気になった作品を挙げていきたい。


石橋コレクション選

アベルト・ジャコメッティ(1901~1966年)

ロダンブールデルなどの正統的な人体表現とはひと味違うジャコメッティの作品が好き。
顔がペタンコだけど何故か違和感なく受け取れる。不思議な造形。

アルベルト・ジャコメッティ 「ディエゴの胸像」1954-55年
アルベルト・ジャコメッティ 「ディエゴの胸像」1954-55年

バーバラ・ヘップワース(1903~1975年)

立体でもう一つ面白かったのは、ヘップワースの作品。
下部の曲線が人間の脚をイメージさせる。
こういう抽象的な表現で、タイトルを見なくても人物を表現しているなと直感できた珍しい作品。

バーバラ・ヘップワース 「翼のある人物Ⅰ」1957年

パウル・クレー(1879~1940年)

クレーの作品が新しく収蔵されていた。
「双子」というタイトルのとても可愛らしい作品。勝手な想像だけれど、タイトルは後付けで、形を組み合わせていった先に双子のイメージが出来上がっていったのかなと思った。
色味と配色が優しくて、見ていると気分がほっこり和む作品。

パウル・クレー 「双子」1930年

アンリ・ファンタン=ラトゥール(1836~1904年)

ラトゥールの静物画もいい。
全てが精密に描かれていて、その中でも特に目を引かれるのは陶器の質感。
陶器のツルっとしたイメージとは違う、少しザラっとした質感が逆にリアリティを与えているように感じた。

アンリ・ファンタン=ラトゥール 「静物(花、果実、ワイングラスとティーカップ)」1865年

ポール・シニャック(1863~1935年)

タッチの長さが揃っていて、船と水面の部分がモザイク画のように見えるのが面白い。キラキラした光を感じる、明るい雰囲気がいいなと思う。

ポール・シニャック 「コンカルノー港」1925年

ザオ・ウーキー(1920~2013年)

青の色味に目を引かれる。濃厚でうねるような青色の動きと白の静寂さ。その対比が魅力的。

ザオ・ウーキー 「07.06.85」1985年

藤島武二(1867~1943年)

女性の横顔、衣装も装飾品も小物もすべて美しい。頭部や手など、肌の露出している部分は繊細に、服の模様は少し大きめのタッチで描かれていてる。そのコントラストで横顔と服の両方に視線が行き来して、ずっと見ていられる。

藤島武二 「東洋振り」1924年

安井曾太郎(1888~1955年)

特徴的な描き方で、パッと見はあまり美人に見えないけれど、なぜか目が離せない。内面がうっすらと感じられるような、微妙な表情が気になる。
髪型が大正~昭和のモダンな感じで、当時のおしゃれな和装という雰囲気。

安井曾太郎 「座像」1929年

オノサト・トシノブ(1912~1986年)

正方形の区画の模様が千代紙を思い起こさせる。全体的な色合いが民芸品のような雰囲気で、懐かしさと親近感を覚える。

オノサト・トシノブ 「朱の丸」1959年

松本竣介(1912~1948年)

地味な色合いだけれど、グッと引き込まれる不思議な魅力がある。
リアルさのなかに所々簡略化された形が紛れていて面白い。

松本竣介 「運河風景」1943年

特集コーナー展示|清水多嘉示

彫刻家 清水多嘉示(1887~1981年)の特集展示。

もともとは画家を志して絵画を学んでいたが、渡仏をきっかけに彫刻に目覚め、絵画と彫刻両分野を学び、日本人として初めてサロン・ドートンヌに絵画と彫刻の同時入選を果たすなど、成功を収める。

渡欧期の絵画作品が多く展示されていて、マティスやセザンヌへの関心が伺われる作品が紹介されていた。

清水多嘉示 「ギターと少女」1925年頃
 清水多嘉示 「丘を望む」1927年

絵画作品に彫刻的な人体把握が見えたりして、彫刻と絵画の両方を見せる展示ならではの発見があった。

清水多嘉示 「レア嬢」1926年
清水多嘉示 「憩いの読書」1928年

展覧会Data

「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 清水多嘉示」
2024年3月30日(土)~7月7日(日)
アーティゾン美術館
東京都中央区京橋1-7-2
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/573

[2024-005]

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