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コレクション展は楽しい #09 東京国立博物館 2025年1月
2025年の美術館初めは東京国立博物館。本館の総合文化展へ行きました。
本館のお隣、表慶館では「Hello Kitty展」が開催中ということで、朝から長い列ができていました。ファサード2階からキティちゃんが顔を出すというポップな演出。
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本館エントランスの大階段はお正月らしい飾り付け。壁時計の装飾が素敵ですね。
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今回は、特集展示「博物館に初もうで―ヘビ~なパワ~を巳(み)たいの蛇(じゃ)!―」(本館2階 特別1室・特別2室)、日本美術の流れ(本館2階 1室~10室)、ジャンル別展示(本館1階 11室~20室)を鑑賞しました。
特集展示 「博物館に初もうで―ヘビ~なパワ~を巳(み)たいの蛇(じゃ)!―」
令和7年(2025)は、十二支のうち6番目の巳年にあたります。ヘビは人間の生活圏の近くに生息する比較的身近な生き物ですが、大きな口やにょろにょろとした動きには独特のインパクトがあります。脱皮を繰り返す生態や、時に毒をもつ特性もあいまって、私たちは古くからヘビに不思議なパワーを見出してきました。
ヘビは地域や時代を越えて、じつに多くの神話や伝説、物語に登場します。そのなかには生命力やアイデンティティーの象徴として、あるいは信仰の対象として大切な役割が与えられているものも少なくありません。とりわけ日本では豊穣をもたらす水神や財を司る弁才天の使いとみなされ、その姿が絵画や彫刻、工芸品に表わされてきました。曲線を描くフォルムの美しさそのものも、作り手の創造力を動かしたでしょう。
本特集では古今東西の作品を通して、美しさ、迫力、面白さ、可愛らしさなど、私たちがヘビに見出してきたさまざまな魅力を紹介します。変幻自在の活躍を見せるヘビたちのパワ~を浴びながら、新しい年の訪れを感じていただければ幸いです。
会期:2025年1月2日(木) ~ 2025年1月26日(日)
私にとってヘビは姿かたちや毒を持つことから「気持ち悪い」「怖い」というイメージしかなくて、苦手な生き物。
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縄文時代(中期)・前3000~前2000年
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でも、縄文土器や仏像の中では生き物というより信仰の対象として象徴的な姿で表される分、苦手な感じがなくなり、むしろ神々しさを感じるから不思議です。
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アンコール時代・12~13世紀
古今東西、ヘビを象った造形物。この辺は造形的な美しさより生々しさを感じるのもが出てきます。
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物語の中に登場するときは、人間の「情念」や「怨念」といった負のエネルギーを象徴する存在として扱われることが多いようです。
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井戸から現れた霊の首をヘビのように描き、おどろおどろしい姿にしている。
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大蛇に乗っているのは大盗賊の袴垂保輔。ここに登場するヘビは悪のヒーローの眷属的な扱いかな?
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この特集展示を観て、世界各地の造形物を通してヘビが普遍的に神秘的な存在として扱われている一方で、物語の中で人間の内面と結びつくと神秘性と対極にある負のエネルギーの象徴にもなる、二面的な捉え方があることが分かりました。
本館2階 日本美術の流れ/本館1階 ジャンル別展示
国宝《松林図屛風》
東京国立博物館所蔵の国宝から選りすぐりの1点を鑑賞できる「国宝室」で今観られるのが、長谷川等伯の《松林図屏風》。
霧に包まれた松林を描いた作品で、薄墨の微妙な濃淡がしっとりとした空気を感じさせる。
よく見ると思いのほか素早い筆致で松の葉が表現されているのが分かる。
時間をかけて向き合っていたいと思わせる深みのある作品。
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水墨画
初夢の縁起物、富士山・鷹・茄子の図。縁起物を見ると気分が上がりますね。
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富士山の図はいくつか出品されていましたが、この作品が一番目を引きました。海へ抜ける奥行の爽快感が好き。
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暮らしの調度
貝合わせやかるたの豪華なセット。
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これで遊んでいた人たちはきっと優雅な時間を過ごしていたのだろうな。
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浮世絵
最近めっきり見かけることが少なくなって寂しいと思っていた雀。
花鳥画に登場すると庶民的な雰囲気が出ていいなと思う。
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頭巾を被った女性のポーズが粋でカッコいい。
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江戸時代にはお正月といえば雪景色なのですね。一昔前まではある程度降っていたと思うけど、今の東京では雪がほとんど降らなくなりました。
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だんだんこういう季節感を共有できる感覚が失われていくのだなと思う。
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こちらは福のてんこ盛り、宝船の七福神。良い一年になりますように。
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陶磁器
可愛らしい寿老人。
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このお皿は意外と表面が凸凹しているけれど、文様と色彩が素晴らしい。
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ヨーロッパ輸出向けに作られた大皿は、模様が大きくて華やか。大邸宅に映えそう。
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これもヨーロッパ向けに作られたもの。持ち手も全て陶製という珍しい形をしている。すぐ壊してしまいそうだけど使ってみたい。
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趣向を凝らしたデザインが魅力的な京焼。竹笹の模様と色彩がとても美しい。
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透かし模様が大好きなので、この京焼には目が釘付けになりました。
透かし模様と内側に金を施した豪華な蓋物。蓋の透かし模様が素晴らしい。
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江戸時代前期に京都で活躍した陶工、野々村仁清は先月訪れたMOA美術館の所蔵作品でその魅力に触れて以来気になっている存在。
MOA美術館でも感じたことですが、器の姿がとても美しい。轆轤の技術が優れているのでしょう。
牡丹や梅がスッキリとした筆さばきで描かれ、構図に漂う程よい緊張感が好きです。
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仁清の色絵水指の代表作。窓絵の構図を用いて、側面を四つに区分けし、それぞれに少しずつ趣の異なる場丹図を滑らかな筆致であらわしています、高い技術を要する金銀も用いて華やかに仕上げています。
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仁清の色絵茶壺を代表する一作。本作は得意の轆轤技術をいかんなく発揮した器体に、赤や銀、金を中心とした華やかな上絵具で月夜に咲く紅白梅を見事にあらわしています。
美濃の渋い器にも心惹かれます。素朴な鶺鴒の姿が可愛い。
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鍋島焼はデザイン性の高さで目を引きます。文様と色彩が特に好きな作品。
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赤い平紐が結ばれた巻軸は吉祥文様の一種で、宝尽くし文様の中にも登場します。(中略)高い意匠性が追求された鍋島焼の骨頂がうかがえます。
この水墨画の雪景色を表した鍋島焼は、グレーの濃淡の柔らかさに輪郭線のメリハリが効いて、透明な空気を感じる素敵な作品。
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衣装
江戸時代後期の裕福な町方女性に好まれた三つ揃えという婚礼衣装のスタイル。几帳文様は特に婚礼衣装で好まれた吉祥文様だそうです。
刺繍に絞りと、とにかく贅を尽くしたもので、華やかさと職人技に目を奪われました。
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近代の美術
日本画で特に面白かったのは、前田青邨の京都の八つの名所を描いた連作。
伝統的な縦長の画面を俯瞰で風景を捉える構図にしたことが斬新。
全景から遠景へ景色を重ねて奥行きを出す伝統的な描き方から脱却している新しさが面白い。
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名前は知っているけれどあまり作品を観たことがなかった平櫛田中の彫刻が興味深い。独特の写実性があって、内側にグッと引き込まれる魅力がありました。
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本館の建築空間
少しだけ、建築空間のことも。
1Fラウンジの装飾が好きです。ここは前回訪れた内藤礼の展覧会で展示スペースになっていた場所。
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展示室を繋ぐ廊下の片隅に黒電話が。一昔前はどの家庭にもあったものが、今では骨董品の風格を持っている。
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エントランス大階段のステンドグラス。
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東京国立博物館
東京都台東区上野公園13-9
交通アクセス:
JR上野駅 公園口/JR鶯谷駅 南口 徒歩10分
東京メトロ 上野駅/根津駅 徒歩15分
京成電鉄 京成上野駅 徒歩15分
博物館のいいところは、幅広いジャンルを所蔵しているところ。
その時の気分によって興味を惹かれるジャンルが変わったり、ときどき訪れてみると鑑賞の幅を広げるきっかけになると思いました。
今回色々なものを観ましたが、絵画の他では陶磁器にすごく興味を惹かれました。
今回は本館のみの鑑賞でしたが、そのほかに東洋館(アジアギャラリー)、法隆寺宝物館(法隆寺献納宝物)、平成館(日本の考古)など見るべきところが沢山あるので、次の機会は本館以外をメインに回ってみようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。