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コレクション展は楽しい

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美術館のコレクション展(所蔵品展・常設展示)の鑑賞記事をまとめました。
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記事一覧

コレクション展は楽しい #09 東京国立博物館 2025年1月

2025年の美術館初めは東京国立博物館。本館の総合文化展へ行きました。 本館のお隣、表慶館では「Hello Kitty展」が開催中ということで、朝から長い列ができていました。ファサード2階からキティちゃんが顔を出すというポップな演出。 本館エントランスの大階段はお正月らしい飾り付け。壁時計の装飾が素敵ですね。 今回は、特集展示「博物館に初もうで―ヘビ~なパワ~を巳(み)たいの蛇(じゃ)!―」(本館2階 特別1室・特別2室)、日本美術の流れ(本館2階 1室~10室)、ジャ

コレクション展は楽しい #08 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリーは、東京オペラシティ共同事業者でもある寺田小太郎氏(1927-2018)が東京オペラシティの文化事業に賛同し協力するために収集、寄贈されたコレクションを所蔵しています。 年4回程度開催される企画展と同時に、毎回テーマを定めて収蔵品展を開催しています。 抽象の小径 収蔵品展081 寺田コレクションより 会期:2024年10月3日(木)~12月17日(火) 今回のテーマは「抽象芸術」。 私が感じている抽象絵画を観る楽しさや醍醐味はまさにここ

コレクション展は楽しい #07③ 東京国立近代美術館 2024年10月

今年4回目のMOMATコレクション鑑賞。長くなるので記事を3つに分けています。 ※前回までの記事はこちら 清野賀子「The Sign of Life」 毎回楽しみにしている第9室の写真・映像展示。 今回は取り上げられていたのは清野賀子(1962-2009年)。 本当に何もない風景の連続。 「何もない」というのは日常的で特別な感じがしないという意味。 でも何点か観ていくうちに、この景色の向こう側には何があるのだろうという興味が掻き立てられてきます。 学校なのか、病院

コレクション展は楽しい #07② 東京国立近代美術館 2024年10月

今年4回目のMOMATコレクション鑑賞。長くなるので記事を3つに分けています。 ※前回の記事はこちら アール・デコの精華 第10室では、フランスの工芸家ルネ・ラリック(1860-1945年)と、同時代の日本人作家が紹介されていました。 ラリックの作品は、今年4月に訪れたポーラ美術館で香水瓶をたくさん観ました。こちらはそれよりも大型の作品が中心で、装飾に見ごたえがあります。 花瓶が多く出品されていました。 植物の装飾模様の中を自由に動き回るカワセミ。 こちらは仲睦ま

コレクション展は楽しい #07① 東京国立近代美術館 2024年10月

1日かけて美術に浸りたいなぁと思ったときに行きたくなるのがMOMATコレクション。今年4回目の鑑賞になります。 ※長くなるので、記事を3つに分けています。 所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3–12.22) 会期:2024年9月3日(火)~12月22日(日) 会場:所蔵品ギャラリー(4F-2F) モデルたちの生誕・没後数十年 絵のなかの人物が生年もしくは没年から今年で数十年というキリのよい周年を迎えた作品の特集展示。 エピソードも含めて面白かったのは

コレクション展は楽しい #06 埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館といえば椅子のコレクション。 前回訪れたときにの様子はこちらの記事に書いています。 今回も企画展・コレクション展を観つつ、展示室や館内に置かれたデザイン椅子にも注目しました。 2階 企画展示室 バルセロナ・スツール/ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ これは他の美術館でも見たことがある椅子。照明を落とした展示室の雰囲気に馴染んでいます。 ベンチ/ジャスパー・モリソン これはとても座りやすかった。 壁にもたれて座るのにちょうど良い奥行で

コレクション展は楽しい #05 DIC川村記念美術館 2024年9月

2024年8月末に飛び込んできた美術館運営に関するニュースには驚きました。 https://pdf.irpocket.com/C4631/Rhyn/DBJg/TKxD.pdf この報告書によると、今後の検討案は下記の2つ。 ・東京への移転を想定した「ダウンサイズ&リロケーション」 ・美術館運営の中止 最終的な運営方針は2024年内に決定するとされていて、2025年1月下旬から美術館を休館することが決まっています。 私がDIC川村記念美術館を初めて訪れたのは2023年8月

コレクション展は楽しい #04 東京国立近代美術館 2024年6月

東京国立近代美術館のコレクション展が大好きで、企画展を見に来た時以外でもコレクション展目当てで訪れることがあります。 今回は企画展「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」の観覧と併せて所蔵作品展「MOMATコレクション」を観ました。 〈コレクション展の特徴〉 13,000点を超える所蔵作品から会期ごとに約200点を展示している国内最大級のコレクション展です。 それぞれにテーマを立てた12の展示室を観ることで19世紀~現代にいたる日本の近代美術の流れをたど

コレクション展は楽しい #03 東京都写真美術館

4月中旬、東京都写真美術館 3階展示室で開催中のコレクション展「TOPコレクション 時間旅行 千二百箇月の過去とかんずる方角から」を鑑賞した。 「時間旅行」をテーマとするこの展覧会では、所蔵作品(写真・映像・資料)とともに、戦後から現代までの時空を超えた旅が展開される。 大正時代 新たな写真表現の模索先月訪れた東京ステーションギャラリーの「安井仲治 僕の大切な写真」展でもこの時代の新しい写真表現が面白いと思っていたところなので、展覧会の基点となる1924年(大正13年)に

コレクション展は楽しい #02 アーティゾン美術館

「コレクション展は楽しい」の始まり 昨年アーティゾン美術館で開催された「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(2023.06.03土~08.20日)は、コレクションの魅力と可能性を教えてくれた展示だった。 それがきっかけで「コレクション展は楽しい」と思うようになり、各美術館のコレクションに注目するようになった。 今回は企画展「ブランクーシ 本質を象る」と同時開催のコレクション展を観て気になった作品を挙げていきたい