【DTMオーケストラ】各パートの中身をお見せします(MIDI付き)
例えば、DTMで壮大なオーケストラアレンジをしてみたい!と思う方はいますか?
「アレンジしてみたい!」でなくとも、「どんな風に作っているんだろう?」とか「なんだこれ…」というシンプルな興味でも構いません。
あくまで、独学で曲作りを勉強中の筆者が「自分はこんなふうに作っているよ」ということをまとめた内容となっており、DTMを知っていても知らなくても、興味を持った方に本記事を楽しんでいただけたら幸いです。
本記事の半分ほどは無料で閲覧できますが、最後までスクロールしていくと「ここから先を読むには購入してね!」というオマケ領域があります。
オマケ領域では、使用音源とパッチの情報や、全トラックMIDIデータの配布先を記載しています。是非ご支援いただけると嬉しいです!
曲全体の構成
先ほどの動画は曲の【後半部分】の盛り上がりで、曲全体としてはこんな感じの50秒ほどの短い曲です。
本記事では上記動画の楽曲の解説を【前半部分】-【中盤部分】-【後半部分】の3つのブロックに曲を分けて、それぞれの楽器パートのピアノロールを用いて解説します。
簡単な用語は知っていることを前提で書き進めますが、分からない単語もググれば済む程度のゆるい書き方でいこうと思います。
どうやって曲をつくっているの?
はじめに、”曲を作る”と言っても色々な方法があると思います。
・”頭の中に出来上がった完成形の音楽”を譜面に書いたり打ち込んだりする方法。
・”実際に楽器を触りながら”曲をイメージして作り進める方法。
筆者の場合、前者の方法で曲を作ることが多いです。メロディーや和音、使っている楽器の音色のイメージが浮かび、それらをDAW上で簡易的なメモとして書き留めるところから始めます。
その後は、”頭の中でぼんやりとしか浮かんでいないパート”を七転八倒しながら具現化して、なんとか一曲にしていくわけですね。
また、曲の構成(Aメロ-Bメロ...とか)も作るときには考えるものですが、今回の曲の場合は、出だしから順番に作り進めていき、最終的には【前半部分】-【中盤部分】-【後半部分】のブロックで構成された曲となりました。
というわけで、まずは【前半部分】から見ていきましょう。
【前半部分】
まず、簡易的なメモとして、ピアノの音色でこのようなトラックを打ち込みました。実際に弾いたわけではなく、自分だけが分かれば良いようにベタ打ちした粗末なものです。
曲としては、7拍子で刻むちょっとダークな雰囲気の音楽ですね。ヒロイックでなければロマンティックでもない、そんな世界観です。
次に、頭の中でイメージが湧いている楽器や歌などのパートに振り分けていきます。
まず、最も基本的な音色の弦楽器を土台にして、その上にどんどん音色を塗っていくイメージをしました。
この部分の弦楽器の内訳は以下の通りです。
▼弦楽器
ヴァイオリン(第一)/ヴィオラ/チェロ/コントラバス
上記を土台に、「メロディーはクワイアで歌わせたいな」とか「ちょっと芯のある音色を混ぜたいな」という思いつきで他の楽器を加算していきます。
(「テッテッテテ、ッテッテッテッテ」のフレーズがメロディーです)
以下の楽器でメロディーとベースを補強しました。
(ここではポピュラー音楽的に、”メロディー”や”ベース”と書いていきます)
▼メロディー
合唱 … ダークでエピックな雰囲気を出したい。
オーボエ/バスーン … 芯のある音色なので、フレーズがより目立つ。
▼ベース
コントラバス … チェロのオクターブ下が欲しい。
トロンボーン/チューバ … 出だしで「バンッ!」っていう破裂音が欲しい。
ピアノ … 低音にアタック感が欲しい。
オーボエやバスーンのような芯のある(トゲもある)音色を弦楽器と混ぜるのは定番ですね。
まだちょっとだけ物足りないと思ったので、以下のようにパートを追加します。
リズムのアタック感と、和音のテクスチャ感を補強しています。
▼アタック感
マリンバ … カツカツした硬いサウンドを隠し味に。
ティンパニ … アタック感と空気感を含んでいるのでとりあえず一発入れる。
▼テクスチャ感
ホルン … ホルンの音色一番好きです。
最初の8小節はこれで完成です。【前半部分】の残り8小節は繰り返しになっていますね。ちょっとだけ異なる部分を入れているのでそこを分解してみます。
この「ファーーァッ→⤴↑!」の部分です。
おわかりいただけただろうか。なんかよく戦闘シーンっぽい映画音楽なんかであったりして、DTMでもシネマティック音源の特殊音パッチでみかけるような効果音的なフレーズ。こういうの自前でやってみたかったんですよ。
これもちょっとトゲのある感じのフレーズなので、弦楽器と、埋もれにくい音色のオーボエとイングリッシュホルンを使ってみました。
フレーズ自体はもうかなり勘ですね。既存の映画音楽の見よう見まねというか。
音の配置としては、マイナースケールで無理なさげな「ド-レ-ミ♭-ファ」を最初に考えて、その前に音符を足して「ラ#-シ-ド-レ-ミ♭-ファ」というフレーズをオーボエに当てて、イングリッシュホルンはその四度下ハモリにしておきました。
※余談ですが、使用している木管音源の一部のサンプルに書き出し時にノイズが出てしまうバグが有るみたいで、そのことに作曲し終えてから気がついて泣いています。
あとは、トランペットとタムタム(銅鑼)を擦る「ッシャッ!」という音ですね。
トランペットはあからさまな不協和音にしたかったので、スケールの四度と減五度の音を同時に吹いています。この辺りのセオリー外っぽいテクニック、プロい方々はもっとなんか根拠があってやってるんでしょうね…。(感性に任せてしまう)
【前半部分】、最終的にこうなりました。
【中盤部分】
ピアノスケッチ。ただ自分が忘れないようにするためのものなので本当にベタ打ちです。
だんだん盛り上がる部分で、和音は金管でパーンと鳴ると気持ち良さそうです。
アレンジが混み合ってくるとどうやって説明しようか悩んでしまいますが、まず弦楽器からお見せします。
▼ハーモニーの役目
第一ヴァイオリン … メロディーという程でもないものの和音のトップ。
第二ヴァイオリン … 第一ヴァイオリンの下でハモる。
▼パッセージ的なもの
ヴィオラ … 上の動画だと黄緑色でメロディアスに動いている旋律。後半2小節はハーモニーの役目に移る。
チェロ … 前半はヴィオラとユニゾンしてパッセージを弾き、後半2小節はディビジしてベースのリズムを弾いたあと、グリッサンドで下降する。
▼ベース
コントラバス … リズムを刻み、最後の1小節はグリッサンドで下降。
出だしの”駆け下がり”(?)というのでしょうか。全体的に音形が下降していますが、こういう場合、一般的には高い音域の楽器は上昇して低い音域の楽器は下降することが多いので、ちょっと悩みました。
最初、ヴァイオリンやヴィオラでは駆け上がろうとしたものの、そもそも駆け上がり先で始まる音が高くないので、結局全体的に下降する形にしました。
また、一般的に、弦楽器の駆け上がり系のフレーズは奇数連符(7連符、9連符11連符)がなめらかに聞こえて良いようです。上の動画でも出だしの部分は7連符で下降していますね。
ハモリの音程は、第二ヴァイオリンとヴィオラが三度で重なって一オクターブ下に向かって下降し、チェロとコントラバスはオクターブで重なって完全五度下降しています。「下降する音形が二種類混ざっているのは一般的じゃないかもな…」と思いつつも、聞いた感じそんなに変じゃないからまぁ良いかな、というノリで良しとしました。
続いて、木管楽器です。
▼最初の駆け上がり
ピッコロ/フルート/クラリネット
… 7連符でスケールを上昇。
▼パッセージ的なもの
クラリネット/イングリッシュホルン/バスーン(1st)
… ヴィオラ&チェロと重ねる。
▼ベース
バスーン(2nd)
… コントラバスと重ねる。
最後の和音は、上から ピッコロ/フルート 2人/クラリネット/バスーン2人 の順で重ねています。ピッコロだけトリルさせました。
パッセージ的な部分では複数の楽器を使いすぎな気もしますが、あとで金管楽器も入ってくるので、埋もれないかな?と思ってちょっといつもより多めに重ねてみました。(筆者比)
ここまでは同じ楽器で役割を殊更分けていなかったので、奏者の人数について表記しませんでしたが、ここで初めてバスーンが1stと2ndで別々の役割を担うという部分が出てきましたね。
そして金管楽器。
動画はホルン、トロンボーン、トランペット、チューバ、金管全体の順。
▼ハーモニー
トランペット/ホルン/トロンボーン
▼ベース
チューバ
とにかくこの【中盤部分】ではバーンと盛り上がるように来て欲しかったので、あまり深く考えずに脳筋配置です。
とはいえ、重複するノートは一度か五度を多くしたり、トロンボーンとトランペットは受け渡しにしてブレスや音域に気を使う(一応)などもしています。
そして打楽器とピアノです。
ピアノの最初のグリッサンドが演奏困難ですが、ここまで記事を書いて気がついたので、もう苦しい例として残しておきましょう😅
ティンパニとシンバルは見て分かる通りです。(尚、ティンパニは使っている音源の都合で、すばやく連続するノートを2オクターブ上の同じ音が鳴るノートに離しています。)
【中盤部分】は全部でこうなりました。
【後半部分】
いよいよサビとも言える【後半部分】の解説です。
このメモと言えるかどうかも怪しいピアノのトラックが…
下のような壮大なアレンジになっていきます。
▼有料のオマケ領域に書いてあること
・【後半部分】の解説
・楽曲内で使っている全てのソフトウェア音源とパッチ一覧
・全トラックのMIDIデータの配布先URLとダウンロードパスワード
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