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茅原実里「メリーの不思議な夢」【ネタバレ有】

2022年12月23日~25日開催。

この記事ではみのりんの一人芝居「メリーの不思議な夢」について、何ものにも縛られず思う存分語る場所です。
そもそもネタバレとは何か?素晴らしいことに開催期間中は勿論、無料配信までの期間及び配信時のコメント欄でも参加者が内容をばらすようなことはありませんでした。ネタバレを踏まないための自衛は勿論必要です。しかし、百聞は一見に如かず、百見とて一触には如かず。この物語は追体験までして初めて1歩の重みを知ることになります。
とは言え、真っ新な状態でメリーを観たい方は、まずはこちらの配信動画を5回(5公演分)は観てから先に進みましょう。


前置き

動画も観てない人にはさっぱりな置き去りにしてしまう内容ですがご容赦ください。これは自分のみのりん参戦イベントレポのためでもあります。みのりんの歴史を語る上での大きな1歩であったとこの先いつでも振り返れるようにここに記します。
※サポーターチケットでの体験とアフタートーク配信で出た話題も出てきます。






ネタバレまとめ

■開演前のステージ上には眠りにつくみのりん(通称:ねむりん)が!
いきなりびっくりしました。何故か30分前開場→15分前まで会場内へ入れない、という状況でした。最初はいつもの場内最終調整とかで遅れているものと思っていましたが、座席のある部屋に入った直後のステージ上のソファーにみのりんが寝ていたのにはビックリしました。そして開演までねむりんをずっと眺めていられるという至福の時間でした。久々のみのりん単独公演での開演待ちの時間でも無駄なお喋りをする輩はいませんでした。この待ち時間はライブとはまた違った新鮮で不思議な感覚でした。

■待ち焦がれた待望の・・・みのりんの生歌!
これがどれだけ待ち望んでいた瞬間かは筆舌に尽くしがたいどころではありません。ただ歌ってくれたから感動、というわけではありません。この「メリーの不思議な夢」オープニング曲ともいえるこの歌への導入の流れは最高のアバンタイトルでした。
「私の名前はメリー」
ここまでの語りと上記のセリフとともに劇伴が流れ始めるここからの引き込まれ具合の変化が一気に感じました。
そしてこのオープニング曲の歌詞がまた染みまくりで公演が終わって「メリーの不思議な夢」の全容を受け取ったからこそ刺さる内容です。

■夢の中の登場人物
夢の中で話を聞いてくれるのはメリーという人物。
そして話をしてくれる様々な人達。
①ヤマさん
②ウッチー
③センちゃん
④サマーちゃん
⑤ミーちゃん

ここで沢山の人の話を聞いてくれるメリーは、懺悔室の聖職者でもカウンセラーでもお悩み相談室の人でもない、等身大で話し相手になってくれる存在であり本当に仲の良い間柄のように本音と感情を曝け出している存在です。

■生きる意味を見失った引きこもり:ヤマさん
猫背でやさぐれた感じの引きこもり歴5年を一瞬で切り替えて演じられるみのりんに驚嘆でした。というよりここからの海千山千の表現力に宇宙の様に無限大のみのりんの凄さを感じました。

インスタのヤマさんが最初に登場してくるとは思わなくてあんなにインスタで活発に色んな場所に行くくらい行動的だったのにどうして引き籠りになったのだろうかと初見では思っていましたが、インスタがエピローグだと知ってからのヤマさんへの印象はガラリと変わりました。メリー前とメリー後のインスタでは人間味が全然違って感じられるから本当に不思議です。
そして一つ疑問だったのがメリーとの話の最後、腿上げ中のメリーを置いて帰ったヤマさんはどんな心情だったのか?です。本当にあきれて帰ってしまったのか、それとも何かこのままではいけないと感じたのか。流石にあの流れだけで「いてもたっても、いられなくなった」にはならないでしょう。というか私の個人的見解は、夢から覚めた後の気付き、そこから葛藤の地団駄があっての「いてもたっても、いられなくなった」と思っています。
そんな重要な回想のヤマさんを最初に持ってきたのは意味があります。ヤマさんの次以降に登場する人達はヤマさんよりも年齢や経験的に若返っていきます。そしてメリーが遡れる回想の一番最初に辿り着いた時、全てが繋がりました。

ヤマさんは自分に価値が無いと決めつけています。マニュアル通りにやれば楽だと気付いてしまい、そのマニュアルすらも自分である必要が無いと気付いてしまった時、自分は数字の1でしかないと思ってしまった。そのまま母親にも顔を合わせず外に出ることもなくなって5年が経ってしまった。

こうしてヤマさんは誰にも会いたくなくなって引きこもってしまいました。

■雁字搦めに囚われたOL:ウッチー
どうしたらいいのかわからなくなってしまったけど現状を変えることもできない苦しみから抜け出せない渦中の人物だけでなく、その原因ともなる人物たちをも矢継ぎ早に演じきったみのりんに脱帽です。

落語形式で始まった第二の登場人物。着座に留まらず、舞台の上をくるくる踊るように役者を演じる様は、まさに複数の登場人物がその場で喋っているかのように思わせてくれました。パワハラ先輩に面倒くさい同僚、セクハラ上司とダメ社会人の見本市のようなブラック企業のメンバーです。
この時のウチさんに対してメリーは何をしてあげるのがベストだったのか?答えはわからないけど現実だったらすぐに辞めるべきだと思います。その環境で何かを得られているなら続ける意味はあるかもしれないけど。「私そんなんじゃダメだったわかってるのにいつも大事なところで逃げる癖があって」と言ったウチさんですが、逃げる=決断しない ことだと思います。この時のメリーがウッチーの背中を押してあげたことは果たしてウッチーの現状を変えるための一歩に繋がったのかどうかですが、結果としてヤマさんの状況に行きついてしまったわけです。

こうしてウッチーは何も変えられない自分のことが嫌いになってしまいました。

■優等生を演じる鬱憤の溜まったティーン:センちゃん
突然瓦を積み上げ始めたみのりん。土台となるブロック塀を運ぶ際の持ち方は腰を痛めそうでハラハラしたけどリハ含めて本番5公演を無事にやり切りました。そして登場した10代特有の受け答えを醸し出すセンちゃんの演技とある意味等身大なメリーとのやり取りに感心してしまいました。ちなみに個人的解釈ですが、割った瓦が5枚=登場人物が5人。何かを変えるにはこれまでのことをぶち壊すのもきっかけにはなると思います。
ちなみに個人的にセンちゃんの声のトーンと感情の抑揚さがめちゃくちゃ好きです。みのりんの萌えキャラだけじゃない等身大の演技はもっと広まるべき。

大人の都合の良いように扱われる子供な自分。親の言うことをよく聞いて良い子をやってきた。それがいつしか”演じてきた”ように感じてしまったセンちゃん。自分のやりたいことや意見も出せないままに良い子であるように努めてきたセンちゃんの鬱憤を晴らすべく文字通り身体を張るメリーさん。瓦割りをしてみたい!(?)という、わかりやすいストレス発散表現を提案するティーン。校舎の窓ガラスを割りたいとかじゃなくて良かったです(人を殴るほど落ちぶれたくないと言うくらいだからある程度は常識があるんでしょうが)。しかし、瓦割りでストレス発散はできてもストレスそのものを失くせてはいないのです。

こうしてセンちゃんは本当に自分がやりたいことがわからなくなってしまいました。

■自分の気持ちを伝えられない内気な少女:サマーちゃん
割った瓦の後処理に手間取るメリーさん。夢の中では瓦を出すのは一瞬だけど消すのは箒と塵取りが必要です。そしてみのりんの武器のひとつ、弾き語りが遂に登場します。恋に振り回される少女を歌った等身大の歌詞(作詞:みのりん)にも注目です。

同じ部活の先輩に恋する少女、内気で大人しそうな性格はみのりんの得意とする役柄です。無機質・無感情ではありません。先輩を思って作った曲は深夜のテンションで秋の夜の人恋しい夜風に惑わされて書いてしまったという曲(作詞:みのりん)は「私の夢」というタイトル。歌詞の内容は確かに暴走した感情が溢れていましたが、恋に振り回される等身大の少女の気持ちを歌っていますね。

この曲は先輩に披露することはありませんでした。恐らく気持ちも伝えることは無かったと思います。もしくはふとした瞬間に恋が冷めてしまったのかもしれません。溢れ出る感情を抑え込んだままのサマーちゃんは自分の気持ちがわからなくなってしまいました。
と、サマーちゃんに関しては大部分が想像で補足しています(他の登場人物も大体想像ですが)。サマーちゃんも恐らく自分の気持ちを伝えることを我慢し続けてしまっていたと思いますが、きっとどうしてあの時あんなにも恋焦がれた感情を持っていたのだろうと自分を振り返って受け止めてしまったと思います。

■相手の気持ちを優先する優しい子供:ミーちゃん
朗読。みのりんの朗読もまた、語り部と登場人物の感情表現をしっかりと見せてくれます。メリーのモノローグとも違う語り部は、子供のミーちゃんや子供の時のメリーさんへ語り掛けるようでした。
ここからの流れは本当に鳥肌が立ちました。

ミーちゃんは優しい子供です。友達のためにやりたい役を譲ってあげるミーちゃん。自分もやりたかったと思うミーちゃん。やりたいと言わなくてよかったと思うミーちゃん。

こうしてミーちゃんは周りの人の気持ちを考えて我慢ばっかりするようになりました。

■その正体:現実の自分、ぬいぐるみのメリー
ふとミーちゃんの話を聞いていたメリーさんは、自分の子供の頃のことを思い出します。自分も自分の気持ちを素直に言えずに我慢していたこと、ミーちゃんと同じだねと言って笑いました。ここからの流れが劇伴と合間って鳥肌でした。

大人になってわかったこと。
言いたい事は言った方が良い、自分ばかりが我慢することなんてない。
そうしないと・・・




夢から覚めたその部屋には見覚えのあるものが沢山転がっていた。夢の中では見ず知らずの誰かの話を聞いて応援していたのは全部自分だった。誰にも話せなかった出来事も小さいころからずっと一緒だったぬいぐるみのメリーには話して過ごしてきた。だからメリーが夢の中でアドバイスをくれた・・・のではなく、自分が心からこのままではいけないと思っていたからこそ過去の自分に語り掛けた。その当時にその言葉を受け取っていたら、それはその時の自分に本当に必要だった言葉だったのかもしれない。

サポーターチケット特典の質問コーナーで判明したのは、登場人物(ヤマ、ウッチー、セン、サマー、ミー)全て合わせて「山 内 千 夏 実」さん。名前自体に意味は無いとのこと。ただし、過去の話でミーちゃんの元ネタはみのりんの実話。正確にはミーちゃんの話に出てきた子供の頃のメリーさんの話。メリーに話かけるのもムクから。
そしてここから更に拡大解釈も含めて。
過去の自分の励ましを受けてもそれでもどうしていいかわからない自分自身にいら立って地団駄を踏んだその時の感情が腿上げに変わるまでのみのりんの御顔は見えません。しかし本当になんてことないアドバイスでも何かのきっかけになりそのきっかけは小さくてもやがて大きなエネルギーに繋がるように、倒れ込むまで腿上げをします。土曜日の夜公演まではソファーに倒れ込んでいました。これは後ろの席の人が見えないことを考慮してとのこと。しかし日曜日には床に倒れ込んでいました。演出面で床にしたとのことで、見えにくくなるかもだけど等身大の感情としては床で合ってると思います。サポーターチケット席は最前なので床に倒れ込んだみのりんのリアルさを堪能できました。
現在進行形のヤマさんに向かって物語を進めるのではなく、過去に遡るように大きな分岐でもあったミーちゃんへ戻っていくことで一つひとつの回想が最後に全部繋がりました。サポーターチケット特典の質問コーナーでは、ミーちゃんが我慢せずにはっきり言う子だったら違う未来になっていたとのことです。だからこそミーちゃんに向かいながらそこで目が覚めた時に現実に追いついたと感じました。

■ヤマの小旅行:エピローグ
そうきましたか!という衝撃でした。
メリー開催直前に突如インスタグラムと連動して始まったヤマさんの投稿。河口湖に絡んでの内容、みのりんのツイッター引用リツイート、インスタストーリー引用、公式LINEでの引用、引用リツイートへのコメントへのイイネ・・・など、一応みのりん的にも公式な投稿だったということはすぐに理解できました。
そして迎えた終演直後のメリーの不思議な夢を体験した河口湖で、このヤマさんのエピローグを追体験せずにはいられませんでした。
「誰でもいいから話を聞いて」
「私はその誰かになることが日課」
ヤマさんのエピローグでの一連の投稿を受け取った時はまだメリーの開催前でしたが、メリーの不思議な夢を体験した後で再びヤマさんの投稿を観返すとすっきりと理解することができました。

ほうとう不動河口湖北本店にて

「いてもたっても、いられなかった。」
このキャッチフレーズの感情そのままにヤマさんのエピローグの軌跡を追体験していました。この感情はみのりんが発信する日々の言葉、等身大のみのりんの発信を受け取った時の感情に似ていました。何かを成すための一歩目を踏み出すために気持ちを押し上げて突き動かしてくれるのはいつだってみのりんでした。それが今回の冬の河口湖参戦へ繋がりました。公演チケットは全日程確保とはいきませんでしたが、公演の無い日でも河口湖でみのりんと共にその空気を感じていたいと思わせてくれたからこそ、金~月まで河口湖に滞在しました。やはりみのりん河口湖からのアフター河口湖は必要不可欠です。

最後に

本編をじっくり理解した後でアフタートークを観ましょう。3時間30分もあるので気軽に何度もは見れませんが、しっかりとみのりんが踏み出した1歩、その踏み出し終えた後の感情をしっかりと受け取りましょう。


■ヤマさんの小旅行:エピローグの追体験

全てではありませんが、同じ場所を巡ってきました。

「ほうとう不動河口湖北本店」。ようやく冬に食べるほうとうを堪能した。
「川口浅間神社」の連理の楓の木。山に登って探したけど麓にあったのに気付かなかった。
「パン・ダニエル」のクロワッサン。
「寿司善」のかっぱめし。ボリューミィーで満腹満足。
「河口湖バッティングセンター」
「全国育樹祭記念広場」へ至る道(まさかの通行止め)
「オルソンさんのいちご」和牛ハンバーグステーキ。めちゃうま。
「河口湖円形ホール」。富士山は偉大だ。
「河口湖ミューズ館」から見た河口湖円形ホール。

追体験はまだまだ終わらないですし、ミノリズムで紹介された場所もこれまでみのりんがサマーライブで教えてくれた場所もまだまだ未踏破です。そしてこれからもみのりんが新しい気持ちとともに河口湖の魅力を教えてくれることでしょう。
最初にも言いましたが、百聞は一見に如かず。みのりんの発信を受け取ったら河口湖で追体験しましょう。
次の目標は・・・富士レークホテルに宿泊する!

そんなこんなで。
挑戦と変化、進化と成長の果てしない道を歩み続けるみのりんがいる場所でまたお会いしましょう。

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