Move to Earn / 歩いてプレーして稼ぐ Genopets 2/2
前回は「歩いて稼ぐ」と「NFTゲーム」を掛け合わせたGenoepetsについて、簡単にまとめました。今日はもう少し深掘ってみます。
ユーザー側というよりサービス運営者側の視点ですが、「持続性」あたりは投資目的を兼ねてやるならユーザーにとっても重要な点ではあります。
既存NFTゲームを教訓にした「はじめやすさ」の設計
Genopetsはウェブサイトに掲載しているペーパーで、NFTゲームとして盛り上がり一気にしぼんだAxie Infinityは、プレイを開始するためにAxie(キャラクターのNFT)を購入しなければならないという設計は、長期的に2つの点で問題だったとしています。
ひとつは、ゲームが人気になる程、つまりAxieの所有ニーズが高まる程、その価値が高くなり、新たなプレイヤーとして参加するコストが高くなる、という点です。そのため、自身でAxieを購入できない人がAxieを借りて代わりにプレイし、収益を持ち主と分配するゲームギルドが必要になったとしています。(ギルド自体がダメとは書いてありませんが、結局Axieは大きく値下がりしてしまったので、ギルドだけでは解決できない課題があったということと思います。ギルドについてはまた別の機会で触れてみます)
そこでGenopetsは、無料でも開始できるようにしています。とりあえず
モンスターみたいなペットのNFTを無料で入手して、あとは歩いて経験値を貯め、それによりペットを進化させる。
そして他のプレイヤーのペットとバトルすることでも進化を促す。
進化することでペット=NFTの価値が上がる
ペット=NFTを他のプレイヤーに売却できる
という具合です。しかしこれだけでは十分に持続的ではありません。
既存NFTゲームを教訓にした「持続的なエコノミー」の設計
GenopetsがAxie Infinityの問題と主張する2点目は、ひとつめの問題(プレイ開始にはNFT購入が必要)がもとで、トークンエコノミーがユーザー増に過度に依存する点です。つまり、増加が弱まるとエコノミーが破綻に向かうというリスクに晒されています。
Genopetsは無料で開始できますが、無料でプレイし続けるだけでは、Genopets全体の持続性=Genopetsのトークンの価値上昇/持続に繋がりません。そういうプレイヤーのことをペーパーでは「Free-loading」と言っていて、日本語訳を調べたら「居候」となっていました。たしかに、現在の設計上、歩いてるとはいえ、Genopets経済圏ではお金を使っているプレイヤーに支えられている感じなんでしょう。
そこで、無料でプレイするのみの居候的プレイヤーがいても成り立つトークンエコノミーの設計をしているとのことです。その鍵となるのが、前述の無料でプレイする流れの最後の点で、進化させたペット=NFTを売却できるという仕組みです。これにより、他のプレイヤーがある程度価値が上がったNFTを購入することで経済に貢献できます。
また、こうして手に入れたトークンを用い、新たにペット=NFTを購入したり、より効率よく進化させるためのアイテム(生息地など)を購入したりという風に、無料ユーザーが有料ユーザーにコンバージョンしていくという流れが生まれるのが狙いかと思います。
Genopetsの持続性について思うこと
トークンエコノミーの設計を眺めてみると、「歩く」のはゲームの一部である以上、「Move to Earn」というより本質的には「Play to Earn」かなと捉えています。
また、Play to Earnである以上、色々と既存サービスからも学んでトークンエコノミーを設計しているGenopetsですが、持続するかはゲームとしての質に大きく影響すると考えます。
ペットの進化もおもしろそうではありますが、それだけで持続的に成長していけるのか、はたまた飽きられてしまうのか、あるいはゲームとしてどんどん進化していくのか… Genopetsというゲーム自体、そしてPlay to Earnの進化という観点でも楽しみです。