AIにビジネスができるか?
経営をAIに任せられるか?
「会社の銀行口座残高を可能な限り増やせ」
という課題を与える。
定型業務を因数分解し、「使うお金」と「入ってくるお金」の差額を計算、「工場人員は現在30名ですが、15名で可能です。15名削減し人件費減らします」といった「意思決定」は可能だろう。
「店舗フロアスタッフを3名増やすことで社会保険料、住民税その他人件費に伴う経費が増えます。営業利益への負の影響は月100万円増分です。3名増やす効果は見込めないため、今期は見送ります」
可能。
ただ、舟を漕ぎ出す
という最初の一発は可能か?
今日午後MAIDO16が始まる。
そこでも議論したいと思っているんだけど、「ビジネスを始める」つまり舟を漕ぎ出す動機は極めて人間的なものであり、100%合理的とは言えない。
一部上場企業を辞め、翌日ニューヨークへ飛び、起業する
これ、AIにできることか? できない。アホでクレイジーでロックなぼくだからできた決断だ。
JPモルガンが2024年テック支出2.6兆円という。AIに投資する。
銀行業務のような要素分解し易い仕事はAIに置換可能だ。
顧客から「大型成長株のファンドを教えて」と聞かれたら瞬時に出せる。
これでアナリストが大量解雇されたはずだ。
とはいえ、見逃せないのが、同時に、リアルの店舗を増強すること。
2027年までの今後3年間で500以上の新店舗を出し、1700店舗を改装する。
目的は「粘着性の高い顧客を獲得するため」。
粘着性の高い顧客とは、言い換えればお得意様だ。
モニタ画面では粘着性が得られないことを承知している。つまり、AIでは粘着性は無理。
出店拡大にあわせて新たに3500人を雇用する。
つまり、「ヒトがヒトに向き合う」わけだ。
レッドロブスター(アメリカ)が破産した。
パンデミックで遠のいた客足を戻そうとして、月曜限定メニューだった「エビ食べ放題」を定番メニューに変えたところ、予想を上回る注文で損失が膨らんだ。
「赤字覚悟ですねん」を毎日やったら、そりゃあかんよなあ。
AIに「お客さん取り戻すために、エビ食べ放題を毎日やったらどうなると思う?」
と質問したらある程度のシュミレーションはしてくれたはずだ。
「手元にある現金がこれだけ、そしてシュミレーションではこれだけ、じゃあ、毎日じゃなくて、週三くらいに留めると適切な客足増になると思われます」くらいの気の利いた回答をもらえたかもしれない。
中華料理の円卓。
あれ開発したのは日本人なんだって。
日本人は、複数で食事していて、ちょっと手の届かない場所にある料理を取りたいとき、「すみません。そこのエビチリ、こっちにいただけますか」とはなかなか言えない。多少無理してでも、自分で取ろうとする。
楽にしましょう
その発想から、円卓が生まれた。
楽にしましょう 円卓
AIには発想できない。
同じくホテル雅叙園東京にある東京都指定有形文化財の百段階段。
実はこの階段、99段でとどまっている。なぜか。
「あと1段、がんばろう」という余力・余韻を残したい。
これ、AIには着想できない。
ビジネスは、つまるところ、自分が何者なのか、何を人生で果たしたいのか、何を喜びとするのかをカタチにするためにある。
AIには、ビジネスの喜びは、わからないのだ。
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