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旧友と元地元・本郷周辺を歩く

久しぶりに東大のお膝元、本郷へ行く。ここは自分が生まれ育った場所なのだが、両親は商売を引退するとともに神奈川へ引っ越してしまったので、その痕跡は今はない。

新卒で就職した会社で一番最初に仲良くなり、今でも唯一友だち付き合いをしているO君とは、SNSで頻繁にやりとりをしたり、たまに会ってお茶したり食事したりするのだが、何がきっかけか忘れたが「今度、東大の本郷キャンパスを案内するよ」という流れになり、近況報告も兼ね当地で会うことになった。

「本郷キャンパスを案内するよ」と言っても、学のない自分は東大の卒業生ではない。ただ、元実家から歩いて3分で東大正門という立地に住んでいたため、東大の本郷キャンパス、あるいは農学部の敷地は、子どもの頃から遊び場だった。認識としては国立公園くらいの感覚で、東大生よりこのキャンパスに詳しいと自負している。

今はセキュリティが厳しくなったのかもしれないけれど、昔はゆるゆるで、実家によく顔を出していた工学部助手の人の研究室へ遊びに行ったり、校舎内の自動販売機で紙コップのジュースを買ったり、グラウンドでサッカーや野球をしたり、やりたい放題だったし、東大生もおおらかな人が多くて「一緒にキャッチボールしよう」と加わってきたりもした。

そんな子どもの頃の痕跡を辿りつつ、O君と本郷キャンパスを歩く。正門からの銀杏並木はまだ黄色く色づいていて美しい。銀杏を拾ったことを思い出す。安田講堂の、東大紛争時の焦げ跡を横目に、ザリガニ釣りをした三四郎池へ。弓道場への階段を上がり、御殿下グラウンド。金網で覆われていて、うかつに入れないようになっており驚く。昔はもっとオープンだったのに。ここでは野球をよくやった。勝手に。

東大病院を眺めながら龍岡門を出る。農学部の方とかはまた今度。その後、湯島へ下り、「せっかくここまで来たのだから」と湯島天神でお参りをし、お茶の水方面へ抜け、再び「せっかくここまで来たのだから」と神田明神に顔を出す。なんだか開運ツアーみたいになってしまったが、このあたりも子どもの頃、自転車で走り回った範疇である。

結構歩いたのでお茶でも、と神保町の喫茶店へ向かうが、学生時代にうだうだお茶していたミロンガも、ぶらじるも、さぼうるも混雑していてゲンナリ。そもそもそういう場所じゃなかっただろうと純喫茶ブーム的な傾向を恨む。

結局、行き場がなく困ったときに行く神保町ブックセンター1Fの喫茶スペースに落ち着き、とめどない会話。O君も年内は時間があるそうだので、早めの再会を誓う。

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