首級を狩れ!戦国武将・真田昌幸タイプレスラーのプロレス戦記 【16】
辛さを乗り越えて生きて行かないと最後に人を恨んで終わる人生になる!
何処からかは分からないけど、私の中でそういう考え方が何時しかまとまっていた。
精神と体に負担がかかる。必死で追及すれば何処まで行っても奥が深く先が見えない。
しかしこの負担から逃げれば何もない人間になって、後悔と愚痴で残りの人生を生きて行く事になるんじゃないか?精神と体にどれだけ負担がかかっても耐えて生きる。精神的な負担とは宮仕えの厳しさだ。
これは勤め人ならみんな経験している事。
会社に行けと言われたら二つ返事で何処へでも行く。やれと言われれば黙ってやる。左遷や捨て駒になり営業先の開拓。それも出来なければ社内の本流には戻れない。出世の道は無くなる。ひたすら我慢して力を付ける。
何とかデビューまでの身体的負担を乗り越えても、心が痛くなる精神的負担が残っている。これが宮仕えの世界だ。
この精神的負担を乗り越えて行きながら会社組織でキャリアと言う形を積み上げて行くのがプロレスと言う世界だ。
プロレスの世界には上級試験などは無いが、やはり時代の流れから大学卒で、出来たらアマチュアレスリングでの成績が良い方がいい。オリンピック選手経験者などはレスリング未経験者よりは大きなアドバンテージを持てる。
プロレスの括りはアマチュアからの延長線上にプロファッショナルレスリングがあると言う位置づけになる。プロレスの正統的なエリートコースとしてファンも解釈しやすい。
このキャリアを持っていないと単なる一般普通科コースになる。
この一般普通科コースになると、叩き上げとして会社からの命令に忠実にならなければ上に行く道は無い。また突出したアマチュアレスリングのキャリアを持っていても大変な状況に持って行かれる場合がある。プロは凄いと言う認識の中、生け贄のように扱われる場合がある。
このようなケースを覚えて頭の中に入れながらマットの中と会社での振る舞いを同時に理解して行かなければプロレスのキャリアを上げていけない。
自分自身としては常にこの部分を考えていた。
それに道場出身者はこの肉体的苦痛と精神的苦痛を乗り越えて行かなければ後々に後悔と恨みが残ると、上に行けなかったのは人のせいになる!こうなると辞めた後は自分自身が腐って行くのではないかと思い、とにかく自分で目標を立ててそれをクリアして行く事に集中した。
それも誰にも明かさずに、社内では何も考えていないようにふるまった。考えがバレると達成する前に潰される。目標など無いようにトボケて試合を重ねて来た。この苦労が嫌なら道場出身のレスラーにならない事だ。
要するに縦の社会から離脱する事。そうすれば開祖力道山以来の伝統からは外れることが出来る。不条理が外れて自分の自由な裁量でレスリングが出来るようになる。練習では自分の満足いく分で終われる。宮仕えの不条理も経験しなくて済む。思い描いた自分の好きな楽しいプロレスを追求すればいい。
どちらも生きて行く事に厳しいかもしれないが、伝統と宮仕えが付いてこない分には精神的には余裕が出来るだろう。自分自身だけを見つめて生きて行く事になる。
私は日本国内に選択肢の無い状況の中で道場出身のレスラーになった。そして必然的に肉体的苦痛と精神的な苦痛を超えて今生きている。人生はマットを下りたとしても生きていれば続いて行く、一般社会の中に入ったら各会社組織で生き抜いて来た強者達と出会う事になる。その時にも生き抜く力は、肉体的、精神的に何かを乗り越えて来た人間ではないかと思う。
プロレスに入門した事。デビューできた事をプラスに考えられないと意味が無いと思った。自分の心に掲げた目標を達成して堂々と感謝の心を持ち腐らずに生きて行かないと先々の心細さに負ける。
苦しくても出来た事に誇りを持ち、ファンを思い。いい世界で生きてこれたと全身で感じる為にも恨みなどは残さずに、肉体的苦痛、精神的苦痛を乗り越えて生きる事を私は選択したんだよ。
ここから先は
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは活動費用として使わせていただきます。