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ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#210

フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒のために作成したオーディオ・ブックですが、HNSの卒業生や看護師を志す人、現役の看護師の方々の他、引退された看護師の方や教育に関心のある方々など、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。

#210 :あからさまに観察するのは良い看護ではない

患者さんは観察されるのを嫌がるから、と言うのは注意深くない看護師の、お決まりの言い訳だ。その通り。

大人であれ、子供であれ、病人は皆、観察されることを嫌がる。しかし、子供や病人を本当によく知り、わかっている看護師を見つけ、患者たちが観察されていたと感じていたかを調べてみよう。

本当に観察力のある看護師は、知っていなければならない些細なことを知ろうとして、患者をじっと眺めたりはしない。
私が知っている最も観察眼のある人は、精神病に関する研究で、ヨーロッパ中から賞賛されている。

この人は一見したところ、かなりぼーっとしているように見える。
椅子の背もたれに寄りかかり、目を半ば閉じながら、あらゆることを見聞き、観察しているのである。

このたぐい稀な観察力と、観察された見かけが何を意味するのかを理解する能力があればこそ、彼は精神病患者に対して、これほどまでに大きな影響を及ぼすようになったのだと思う。
(2024年2月29日配信)

フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年・近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。

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