ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#088
フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒だけなく、卒業生や看護師を志す、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。
#088 :本当の病人と病気だと思っている人の違い
私たちがあちこちで言っていることは、すべて心気(しんき)症患者には当てはまらないことをはっきりと理解していただきたい。本当の患者と心気症患者を区別することは、看護教育の大切な部分である。
心気症患者を管理するのは、看護師の重要な任務のひとつである。しかし、本当の患者に必要な看護と自分は病気だと思い込んでいる心気症患者に必要な看護は、異なるものである。
心気症患者は、看護師の目の前ではしようとしないことを、陰(かげ)で行うことが多いのは事実である。私が扱った心気症患者には、決まった食事のときにはほとんど食べず、引き出しの中に食べ物しまっておくと、夜中や隠れて食べる者も多かった。
一方、本当の患者は、看護師や医師が首を横に降らない限り、自分がどれだけ何かをしたとか、食べたとか、歩いたことなど自慢することがよくある。
(2023年8月28日配信)
フローレス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年:近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。