ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#095
フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒だけなく、卒業生や看護師を志す、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。
#095 :病人には読むよりも話した方が良い
見当違いをしている読み手に、患者がこのように言うのをよく聞くことがある。「読むのではなくて話してください」と。
患者は無意識のうちに、話してもらえば、まくしたてられたり、不要な部分だと省く事はないが、一部を早口でしゃべり、別の箇所はブツブツと話すと言うように、バラバラのペースで読まれることに歯止めがかかることを知っているのだ。
読み手の注意力が散漫になり、自分で読むために朗読を止めたり、間違った箇所を読んだりすると、哀れな患者は折角のチャンスをふいにしてしまう。
病人にどのように読み聞かせるかを知っている人は非常に少なく、話すように耳に心地よく朗読できる人は非常に少ない。
読む場合は、節がついたり、ためらったり、どもるかと思えば、急いだり、モゴモゴ話す。話す場合は、こういうことが一切ない。
病人に読むときは、常に比較的ゆっくりと、はっきりと、しかし大げさにではなく、大きめの声だが、騒々しくないように、そして何よりもあまり長く朗読しないことである。
(2023年9月6日配信)
フローレス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年:近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。