ちいさな庭だより。2023年6月号。
[intro]
一年の中でいちばんニガテな時季であるところの梅雨が過ぎようとしている。日によっては猛暑日に高い湿度だったりもして、植物たちもさぞかししんどかろう。水をやるタイミングに頭を抱える日々である。
[街なかの、裏庭より。]
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蒸し暑い日が続いている。ちいさな庭では、白のタイマツバナが咲きはじめた。この花が咲き始めると、夏が来たか、と思う。かつて畑があった頃は、タイマツバナに加えてきゅうりがぶら下がり始めるのが、我が家の夏の到来の合図だった。
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その畑だった旧宅の庭で、先月はドクダミの花と蕾を摘んだのだが、それでもまだまだ元気よく繁っているので、今度はお茶にチャレンジすることにした。100本ほどの枝を刈ってよく洗い、吊るした状態で2週間ほど乾燥させ、細かく切ってフライパンで煎って、完成。さっそく飲んでみると、思いのほか飲みやすい。何かしら身体にも良さそうだし、毎日の飲み物のラインナップに加えることにした。
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旧宅の杏はカラスに取られてしまい、今季は口に入らなかった。散々つつかれた実が玄関先に転がっていて、いよいよ今シーズンで最後と思っていたのでとても残念だ。代わりに、というわけではないが、いちじくが再び実をつけ始めているので、こちらを新たなたのしみにしようと思う。
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街なかのちいさな庭ではラヴェンダーが細々と咲き、先月号の時点ではまだ蕾だったクリーヴランドセージと、過去に花をつけたことがなかったワイルドタイムがそれぞれ少しではあるが花をつけた。野いちごは一旦収穫を終えたので、予定どおりジャムに加工。ブラックベリーは上旬に花が終わり、目下はゆっくり結実中。クランベリーも緑色の風船のような実をぶら下げている。挿し芽苗、根伏せ苗のどちらもいちおう活着したようで、一部は上旬の草花交換会へ。
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こちらでは今回はイカリソウ、サギソウ、イングリッシュオーク、シルバーレース、カネノナルキなどを輿入れした。前回のサボテンに続きそれぞれ個性的で、お世話の難易度が上がってきている気もするが(笑)、経験値は上げておいて損はない、ということで。毎回それぞれの庭の情報交換はもちろん、市民菜園も見せていただき、有意義な時間となった。
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心配していた姫睡蓮、ポリポットの中で根詰まりしていないか確認した方がいいかも、と交換会でアドバイスをいただいたので、さっそく実行。水と肥料も全取り替えしたところ、はやくも一輪開花した。しかし、どういうわけか花弁の先が傷んでいる。スズメたちがよく姫睡蓮の容器で水を飲んでいるので、蕾をついばみでもしたのだろうか、あるいは激しい風雨に翻弄されて傷んだのか。ともあれ、ひとまずは復活してくれてよかった。これからの季節、愛らしい花にまた会えると思うとうれしい。
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風雨といえば、種から育ったアオツヅラフジが、ようやくつかまる場所を見つけてくれた。この錆びた柱につながってくれたらいいのに、とずっと思っていたのだが、雨風にあおられて細い蔓をあちらこちらへふらふらと揺らしているばかりで、なかなかつかまってくれなかったのだ。これで一安心。
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室内管理チームもようやく少しばかり落ち着いてきたようだ。株分けをしておよそ1か月のサボテンたちは、活着したのか新しい棘や蕾が育ち始めている。なんとも不思議な姿に、日々驚かされ、魅了される。昨秋に輿入れしたヒモサボテンも、再び花をつけた。
その一方で、うまく冬越ししたはずのルビーネックレスがしおれ始めてしまい、慌てて挿し直す、という事態も。どうやら水分が多く根腐れしてしまったようだ。梅雨時期だからということもあるのかもしれないが、お世話しすぎてはいけない、しかししないわけにもいかない、という距離感の難しさに直面することになった。
また、鉢で管理していたコウリヤナギに、どうしてもハダニのようなものが発生してしまい、薬剤散布を試みるもあまり効果がないようなので、やむなく外に出すことに。復活を望む。
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さて、室内管理のチャレンジは他にも。件のサボテンの寄せ植えに、なぜかシダや苔類が同居しており、ちょうど昔購入した薬瓶があったので、ひとまず手持ちのものでテラリウムなるものにしてみたらどうだろうか、と思ったのだ。かれこれ2週間ほどだろうか、シダが窮屈そうだったので、おおきめの瓶に引っ越しして様子を見ているところ。なかなか思うようにはいかないながらも、苔類についてはいい塩梅になってきている。ちいさな世界をのぞき込んではたのしむ日々だ。
[ロザリアンへの途…病害虫との闘い。]
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