『自転しながら公転する』を読んで

2か月空けず2回目を読んでしまった。
私はすぐに本の内容を忘れてしまう病気なので、何回も同じ本を読むことはよくあるが、2ヶ月空けずに読んでしまうのは初めてだ。

主人公都だけでなく、様々な登場人物に感情移入した。
全員「どうしたら幸せになれるのか」を考えながら生きているところがとてもリアル。現実でもそうよね。

色んなことを経験して考えてきた都が母になってに娘に言ったセリフ「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」がびっくりするくらい心に響いた。
私がふんわり考えていたことを的確に言語化したことだったから。

少なくとも私の人生には、完璧な幸福なんてない。どれだけ素晴らしい環境にいても、何事もうまくいっていてもきっとどこか少し不幸を探してしまう。
だったら、少なくとも今は幸せだ!と感じられる一瞬を少しでも増やそう。
結婚したら幸せになれる、は違う。環境が変わってもいつでも対峙しなければいけないのは自分自身だ。自分自身が幸せと感じられるか、そうでないと感じるかであって、環境や他人が自分を幸せにしてくれるわけではないのだ。

アラサーな私の周りが結婚して子供を産んでいく中で、果たして自分にとって何が幸せなのかをずっと考えてきて、今年の春くらいにはっと気づいた。
大事なのは人から見て幸せかどうかではなく、自分が幸せに感じているかどうかのみなのだと。

そんなタイミングで読んだ本だったので余計に心に響いたな。
都のお父さんが「結婚して稼ぎの良い夫に養ってもらって健康なうちに子供を産むことが一番の幸せだ」という言葉に対して都のお母さんが心の中で思ったことがものすごく辛辣。「私はそういう風に生きてきたけど、今特に幸せでないですけど。」

幸せの定義は人それぞれだからこそ、それを他人に押し付けてはならない。私の彼氏もいつもそこそこの幸せを目指してるって言ってたなあ。それが都の行きついた答えなのかもしれない。

私はいつも100点を目指して勉強していながら、テストで80点を取る女なので、やっぱり自分にとって一番幸せに感じる瞬間をたくさん紡いでいきながら、それでも20点足らない自分を許していけたらいいな。

この本は、日常の色々な出来事の中で完璧に幸せな人はだれ一人いなくて、だからこそリアルな感情が描かれていて、それでももがきながら各人の幸せを追い求めていく、そんなストーリーがすごく良かった。また自分が不幸でどうしようもないと感じたときに読みたいと思う。

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