水平な無限の壁


 いよいよ受験生〜。受験・進学に向けて、自分で目標を設定し、計画を立てて実行する、日々の積み重ねをなによりも大切にすること、好きなことに磨きをかけていけるような一年にしたいと思っている。
 しかし、私は継続することが苦手である。どんなに自分の好きなことであっても、自信がなくなったり、周りの評価が気になったりするとなかなか手がつかなくなる。私の悩みの一つだ。

 「かもめのジョナサン」は、漁船の周囲で餌を啄ばむカモメの群れ…そこから遥か遠くの上空で自身の飛行を求めて演習を重ねるジョナサンはやがてカモメの集団生活を乱す存在とみなされ群れから追放されてしまう。流刑地での暮らしを余儀なくされたジョナサンは磨き上げた飛行技術を駆使して群れのカモメには不可能であろう自由と愛に満ちた生活を送る。
 そして、カモメの一生があんなにも短いのは「退屈、恐怖、怒り」のせいであると気づく物語である。

 一つの事を継続し、磨くということは多くの事に手をつけるよりも、身体的、精神的の両方でかなりの力が必要であるとジョナサンの生き方から感じられる。しかし、突き詰めていくということは自身の消耗、寿命を削ることと引き換えに、大きな自由と多くの愛を手に入れられることでもあるのではないだろうか。
 私たちは食事睡眠といった生きる為の必要最低限のことをこなしていれば、ある一定の期間は生きていける。しかしこの行為は同時に自分の寿命を削る行為でもあると私は思う。
 せっかく寿命を削るのならば、自分自身の生活が回転するような術を見つけ、突き詰めていきたいと私は思う。その術の一つが私にとって「伝える」ことなのであり、それが飛行するためのエネルギーなのだ。

 私たちが生きていく上で集団生活は食事、睡眠に並び欠かせない要素の一つである。しかし、群れで生きていたとしても、自分自身の行動に責任を負うこと、人生を全うすることは個人が果たさなければいけないのだ。
 だからこそ、時に群れから離れて飛ぶことに没頭する、好きなことをひたすらに磨き続けるべきではないか。それが「退屈、恐怖、怒り」を振り払う手段の一つであり、有意義な飛行そのものであると考える。

 高く飛ぶのか、速く飛ぶのか、遠くへ飛ぶのか。それは人それぞれである。私は、私の飛行をしていきたい。
 今、私の前には水平で無限の壁が広がっている。

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