家具雑記/吸付き桟
広い板を そのままにして置くと 反ったり縮んだり
それは自然の摂理ですが それをいかにして防ぐか
昔の職人が考え出した方法は 実に合理的で発想豊かです
その方法とは 吸付き桟
板が動こうとする力を 逆に 板の動きを止める力に変える
板が動こうとすればするほど 桟に密着して 動けなくなるという仕掛けです
まず 板側に アリ溝を切ります 断面が底にいくほど広い溝
さらに その溝は入り口が広く 奥が狭い
その差は ごくわずかで 目に見えないほどの差です
次に 桟側に アリ溝に合せたアリ桟を付けます
溝と同じく 頭とケツの幅に ごくわずかな差をつける
そして 溝に桟を差し込んで
スーッと通して 最後の数センチを残してキュッと止まったら
バンバンバンと叩き込む
これで 仕掛け完了
木の板は 湿気と乾燥の中で 常時 幅が伸びたり縮んだりしています
そして 経年では 結果的に縮む方向に動く
それは 桟と溝が さらに強く密着する方向と同じ
すなわち 桟が 板に吸付く というわけです
もちろん 100%というわけではないですが この方法はかなり有効です
というか これ以上の方法は 他にないとおもいます
吸付き桟を考え出した名も無き木工職人に敬意を表して。
<20年くらい前の雑記>