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未成熟瘢痕におすすめの軟膏を紹介

こんにちは。
きずときずあとのクリニック、豊洲院院長の「村松英之」です。

私たちは、怪我・やけど・傷跡・リストカットなどで悩む患者さんの光となり、そして形成外科をさらに社会に広めるために活動しております。

今回は、「未成熟瘢痕」についてお話ししたいと思います。
本記事の内容は、YouTubeでもお話ししているので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。


はじめに

はじめに

まず、傷が治ってくると「傷跡」になります。
当院では怪我や火傷の治療においては、「将来的な傷跡がきれいになるように」と考えの元に治療を行なうのが基本です。

未成熟瘢痕は、傷跡になって半年から1年くらい経過しており、まだ傷跡が赤くて硬いものを指します。
傷跡のケアは、大きく分けてテープ・シリコンジェルシート・軟膏がありますが、今回はその中で軟膏の使い方について解説したいと思います。

軟膏治療について

軟膏治療について

まずは、軟膏がどのようなものを指すのか、私の考えや保険適用の範囲についてお話ししたいと思います。

保険適用になる軟膏は非常に少ない

軟膏は、日本でもっとも遅れている治療法かもしれません。
その理由が、保険で適応になっているのがヒルドイド、つまりヘパリン類似物質のみだからです。
日本では、保険で使えるものが最も素晴らしく、その他はやらなくて良いとの考えが浸透しています。

医師も保険以外のものを勧めることは倫理に反すると思っている部分があり、私自身も昔はヒルドイドしか使っていませんでした。
ただ、将来的な傷跡をきれいにするために、保険適応以外ものを使い始めたところ、一番違いが分かったのがこの軟膏です。

私の考えを変えたのは「バイオイル」

考えが変わったきっかけは、バイオイルと呼ばれる製品です。
前橋日赤で全身熱傷の治療を行っていた際、傷が治ったあとの傷跡に対してはヒルドイドとステロイドをずっと使っていました。
しかし、あるときシャンパール社という会社から、バイオイルと呼ばれる製品があるから試して欲しいとの提案があったのです。

当院にはたくさんのやけどの患者さんがいたので、同意をいただいてモニターをしたところ、驚くくらい赤みが早く消えて、色素沈着も残りにくくなっりました。
このような経験を経て、将来的な傷跡に対してヒルドイド以外の軟膏などを使うことに興味が出てきました。

軟膏の目的と使い方

軟膏を塗る目的

次に、軟膏の主な目的と詳しい使い方について見ていきましょう。

軟膏を使用する目的

軟膏の主な目的は、保湿です。

傷跡は乾燥状態だとなかなか赤みが消えず、傷跡もきれいになりません。
そのため、保湿によって傷の赤みをできるだけ早く取っていってあげることが大事です。
ただし、遮光はできませんので日焼け止めは別でつけましょう。

軟膏の使い方

基本的に、どの薬も1日2回朝晩に傷跡に塗り込んでください。
外出する場合は、軟膏の後に日焼け止めを塗ります。
これを3〜6ヶ月程度続けていくと、少しずつ効果が現れてくるはずです。

たまに、たくさん塗った方がはやく治るんじゃないかと思う方がいます。しかし、それは逆効果です。
保湿することは大事ですが、過度な保湿はかぶれや湿疹などの原因となります。1日2回を基本とし、傷跡の乾燥が強いなと感じた場合は、追加で1回塗るくらいで大丈夫です。

軟膏のメリット・デメリット

軟膏のメリット・デメリット

軟膏のメリットは、赤みが一番早く取れることです。
使用するものによっては日焼けによるダメージを補修したり、将来的な色素沈着を予防したりできます。

デメリットは、面倒な点くらいでしょうか。
毎日やり続ける必要があるので、緊張はとれません。

私のおすすめ商品を紹介

私のおすすめ商品を紹介

最初に伝えておきたいのですが、ここで紹介する商品は自分のこれまでの経験や調査でのおすすめになります。
ご意見はいろいろだと思いますし、自分も勉強不足なところがあるので、是非さまざまなご意見をいただきたいです。

それと、あくまでも未成熟瘢痕におすすめの軟膏なので、もう何年もたった傷跡には効果はありません。

①ヒルドイドなどのヘパリン類似物質

これは、保険でよくもらう薬です。
一番有名なもので、乾燥で皮膚科に行くともらえます。
単なる保湿剤なのですが、「傷跡で出してください」と言っても出してもらえないことがあります。

軟膏に限らず、薬の処方には病名が必要です。
ヒルドイドの対象になるのは、ケロイドや肥厚性瘢痕とされています。
厳密に言うと、怪我が治ってすぐの傷跡である未成熟瘢痕は、肥厚性瘢痕やケロイドではありません。
そのため、ヒルドイドは適応にならないことがあります。

②アットノン 小林製薬

小林製薬のアットノンは、内容的にはヘパリン類似物質なので、ヒルドイドとほぼ同じだと自分は考えています。
薬局などでも手軽に購入できるので、使いやすい製品ですね。

③シリコンジェル

シリコンジェルは、世界的には一番多く使われている製剤だと思います。
多くの論文があり、肥厚性瘢痕やケロイドの発生を予防して、かゆみや赤みも軽減してくれる効果も実証されました。

ただし、日本では購入が非常に難しく、値段も高額です。
病院やクリニックで使用しているところも少なく、こんな15gで5,000円とかするので、絶対に続けられません。

④バイオイル

バイオイルは、自分が傷跡に対してヒルドイド以外の製品を使い始めるようになった初めての製品です。
比較の文献はありませんが、明らかにヒルドイドなどよりも赤みが減るのが早く、色素沈着も少ないと思います。
値段も手頃で使いやすく、匂いも良いのでおすすめです。

以前はシャンパール社で日本での販売権利がありましたが、今は小林製薬がバイオイルを販売しています。
この商品には、「パルミチン酸レチノール」と呼ばれるビタミンAの製剤が入っているので、傷跡に効果的です。

実は最初はなぜ傷跡に効果があるのか知りませんでした。
開業してから、スタッフに教えてもらったのですが、そのスタッフは実は次に紹介する製品の愛用者だったのです。

⑤エンビロン

当院では、エンビロンを最もおすすめしています。
これを傷跡に使っているクリニックは、ほとんどありません。

当院でも、2年くらい前に非常勤の先生に勧められて使い始めました。
エンビロンは世界中で25年に渡って使用されている化粧品の1つで、主にシミ・シワ・タルミ・にきびなどのスキンケアを目的としています。
日本でも1,800箇所以上のクリニックで使用されており、非常に信頼感のある製品です。

エンビロンをおすすめする理由

エンビロンをおすすめする理由

エンビロンには、ビタミンAとビタミンCが含まれています。

傷跡って赤や黒色をしていますよね?
そして、将来的にはその傷跡を白くしたいと考えている方が多いはずです。

エンビロンに含まれるビタミンAは、傷跡の補修をしてくれます。また、日焼けなどによるダメージも修復してくれるのが特徴です。
一方、ビタミンCは色素沈着の元となるメラニンの生成を抑えてくれます。

この2つの効果で赤みを早い段階で改善し、色素沈着になるのも防いでくれるのです。赤ちゃんや子供、妊婦さんの使用もOKですよ。

エンビロンの中でも、特にモイスチャークリームの1番がおすすめです。
若干値段が高く、クリニックやサロンでしか購入できませんが、効果はしっかりと感じられるでしょう。

最後に

最後に

軟膏治療については自分もまだまだ未知数なところがあります。

まず、一番大切なのは保湿と遮光なので、この2つを気を付けた上でビタミンにも目をむけてみるとよいと思います。
何か気になることがあれば、気軽にご相談ください。

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