新しい世の中 海賊剣②
・船の上での無知な自分との出逢い
つまりは単純に自分自身が「世界」や「自分」「人」というものを知らなかっただけなのだと気付いたのは、日本から遠く離れた海の上でした。
今から15年前の2005年2月、当時働いていた職場を辞め、海外への冒険に出たときのことでした。
海外には国内外の人も含めてこれまで出逢ったことの無い様々な年代や職種の方々と繋がり、更には著名人の方とも自然と仲良くなれました。自分が知りたかったあらゆることを知ることができ、また、自分の求めていた「青春」を初めて謳歌することができました。世界は自分が思っていたよりも広く、深く、そして優しかった。「なぜ今までこんなことに気付かなかったのだろう」と不思議にすら感じました。考えてみればそれまで出逢ってきた人たちというのは、家族、学校関連、バイト先や職場くらいしかなかったので当然のことかもしれません。そしてこれ自体も自分が作り出してしまった視野の狭い選択肢でしかなかったことを実感したのです。
・NGO職員と夜回り
その後、たくさんの出逢いのきっかけを作ってくれたその国際NGOでそのまま働くことになりました。いつしか僕は夜回りをはじめ、昔の自分のように自暴自棄になって人生を諦めてしまいそうな若者たちの相談に乗るようになりました。そこで出逢った人たちはいわゆる夜の住人(水・風・自傷・薬にはまる若者)が多かったのですが、その後お会いすることになった不登校・引きこもりの人たちはまた全く異なりました。極論、人はそもそもカテゴライズなんてできないので、みんな一人ひとり違うことも当然なのですが、さまざまな人との出逢いでそのことを改めて痛感しました。
・スタッフとして乗船
そしてそれぞれがそれぞれの場所で何を充電しているのかが知りたくて、長旅の中で徐々に深く関わることができるようになりました。最初は目も合わせてもらえなかった(僕がコワモテなのもありましたが汗)人が、ゆっくり心を開いてくれた喜びは言葉にできないほど嬉しかったです。日々新たな出逢いで様々なことに挑戦していく彼らの勇気に感動するのとは裏腹に、「なぜ日本では素直にコミュニケーションすることすら難しかったのか」と、教育やメディアのあり方(もしくは日本の常識)に憤りを感じました。
③へ続く
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