流しの国語辞典「息」編
鼻を表す「自」と心臓を表す「心」。
心臓から鼻に抜ける息を意味する。
ちなみに静かな息から憩うという漢字が生まれた。
息子には憩いの子という意味がある。
江戸後期の国語辞書「和訓栞(わくんのしお
り)」によれば「息」は「生」を意味すると
されており、江戸中期の語源辞書
「日本釈名(にほんしゃくみょう)」にも
「息」は「生」の意、または「出気(いずる
き)」の略とされていた。
江戸前期の語学書「和句解(わくげ)」によれば
「い」は「出で」、「き」は「引き」が由来と
されており、この他、「いき(胃気)」が語源と
する説など、多くの説が存在し、定説はない。
息子と娘に使われている「むす」とは?
ムスコ、ムスメに共通して使われている「むす」
は君が代の歌詞「苔の産(む)すまで」に使われ
ている「むす」と同じ。
「むす」 は草や苔が茂って繁殖する意味で、
そこから 「産む 」 「産まれる 」 という意味も
持つようになった。
その「産(む)す」に男性を表す「子」が付き、
「産す子」になり、女性は「産す女」となった。
自分のムスメを表す言葉で「息女」と「娘」があ
るが、「娘」という字体は、元々「孃」という
字体だった。
「孃」という文字の右側の「襄」には、
着物の袷に綿を詰めたものを表し、
柔らかい女性という意味で「孃」という字を
使っていた。
「孃」から簡易化されたのが「娘」という文字。
常用漢字にするために本来漢字が持っていた意味
が薄れることは残念なこと。
突然の「突」も元々は穴と犬。穴から突然犬が
飛び出してくる様子を表していた。