充電中の子を持つ体験談 祥子さん①
この前、岩宮久代さんの取材が終わった後、お話する機会があり、そのときに是非紹介したい人がいるとお繋ぎいただいたのが熊谷祥子さんだった。
祥子さんとは久代さんの長男、樹己君が幼稚園年少組からの付き合いだそうで、当時はご主人が勤める会社の社宅が同じだったとのこと。
久代さんは樹己君が学校に行かないという選択をしたとき、いの1番に相談したのが祥子さんだったようで「とにかく心の支えで、自分にとってものすごく救われた。祥子さんが居たから今の自分があると思う」と話してくれた。
そんな祥子さんだったが、少し遅れて今度は自分の長男が充電中に入った。
「相談に乗っている方が次は同じ立場になる。人生って面白いですよね。相談を受けているときは俯瞰して見れたのにいざ当事者となればあたふたして対処できないもんなんですよね。初めの方は無理矢理起こしたり学校に行かそうとしたりやってはいけないことばかりやってましたね。何かに囚われて正解や正しいという幻想に従ってましたね。今となっては理解できているけど」
ということで今回は祥子さんを取材した内容を何回かに分けてアップしていく。
・息子さんが充電期間へ
祥子さんの長男が中3のときに充電中になった。
現在はN高等学校に通う高校1年生。
祥子さんはフラワーアレンジメントの先生の傍ら個性心理学やタロット占い、メイクやコンサルティングの仕事等を手掛ける事業家。
笑顔がとても素敵な方でついこの間まで充電中の子を持つお母さんとして苦しんでいたようにはとても見えなかった。だからこそ、短時間でどんな心境や環境の変化があったのかが気になった。言葉か場所か人か。そこを中心に取材することにした。
・変わるきっかけは起業
祥子さん自身は会社員から自営業に変わったところが人生の大きなターニングポイントとなったと話してくれた。
それと同時に充電中に対しての考え方も大きく変化し、お子さんも大きく成長することができたようだ。
5年前の自分を「社会不適合者だった」と明るく笑って話す祥子さん。
人が当たり前にできることが自分にはできない。そしてそれを苦しいと感じていた。
自分には能力や技術がないからこうなるんだと責めることも多かったという。
しかし、人にはそれぞれ違う役割があるし、得意不得意もある。
自分を社会や常識という枠に当てはめるのではなくて、自分に合った場所、輝ける場所を探すという考え方に徐々にシフトしていった。
自分の頑張りや努力に対して収入や収益が思うほど付いてきていないことに疑問を感じるようにもなったという。
僕も同じような経験がある。頑張れば頑張るほど体力が消耗するが、結果は一向に上がってこない。そして、もっと努力しなければと思い、全力で進もうとするが結果は同じ。後退することさえあった。そして、「もうしんどいし、やめた」と力を抜いた瞬間、ブワ~っと一気に前に進む感覚がある。例えて言うと流れるプールを逆向きに泳いでいたような感じ。力を抜いた瞬間、進み始めて一瞬混乱するがそこで合点がいく。
「努力の方向を間違えていたんだな」と。
努力というものはやみくもにすればいいというわけではない。努力すればするほどゴールから遠ざかる努力というものも存在するからである。
逆に正しい方向だとそれほど大きな努力をせずとも必要な場所や言葉や人と然るべきタイミングで出合うことができる。最近はそれを一つのバロメータとしている。
・きっかけは面白い大人との出会い
話を戻すと、祥子さんは会社員を辞め、自営業への道へ進むことを決めた途端、「破天荒で面白い人たちばかり」に出会うようになったという。
それと同時に自分がいかに狭い常識という枠に囚われ、生きてきたのかということを痛感したという。学歴も経歴も関係なく、素直に人間として尊敬できる人がそこにはたくさんいた。いい学校に入ればいい会社に入れる。そしてその先には幸せな人生が待っている。
こんな神話のようなことを信じて疑わなかった自分。そして自分の子どもにも無意識にそんな人生を歩ませようとしていたことにスッと気付くことができた。
「気付いてからは早かったですね」と祥子さん。「学校に行くべきだ」という常識に囚われない成功者たちの言葉が胸にガンガン響くようになったという。
②へ続く
岩宮樹己君と久代さんの記事はこちらから