氣づきの国語辞典「久」編
「病気で横たわる人の背後から灸をすえる」象形
から、灸の意味を表したが、それが転じて、「時
間が長い」、「ひさしい」を意味する「久」とい
う漢字ができた。
久延毘古(くえびこ)という神は大国主の国づくり
の説話に登場する。『古事記』によると、大国主
神の元に海から小さな神がやって来たが、誰もこ
の神の名を知らなかったので、ヒキガエルの
多邇具久(たにぐく)が「久延毘古なら、きっと知
っているだろう」と言ったので、尋ねると「その
神は神産巣日神の子の少名毘古那神である」と答
えた。大国主神の国づくりをサポートした神がこ
の少名毘古那神である。
久延毘古とは『山田のそほど』(=かかし)のこと
である」とされ、久延毘古はかかしを神格化した
もの、すなわち田の神、農業の神、土地の神であ
る。
多邇具久(たにぐく)の語源は「谷潜り」(たにく
ぐり)の意とされ、「クク」はヒキガエルの鳴き
声の擬声語であるという説がある。谷蟆(ヒキガ
エル)は、どこにでも生息しているため、「国
土の隅々まで知り尽くした存在」や「地上を這い
回る支配者」と考えられてきた。『万葉集』の山
上憶良の長歌に
「天雲の向伏極み 谷蟆のさ渡る極み」がある。
天皇の支配領域を指し、天の雲の向こうの果てか
ら地上はヒキガエルの歩いているようなところは
すべてという意味で使われている。
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