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元充電中の勇者 岩宮樹己君③

第五章 友人関係
友だちとの関係は良好だった。同じ小学校のメンバーを中心に部活動終わりに樹己君の家に集まっては遊ぶ日々だったよう。
学校に来ていないことを言及する子は全くいなかったので、気持ちも楽だったと振り返っていた。家での悶々とした生活に水を与える役割を果たしてくれていたようだ。
充電中当時、学校には何度か行ったと言っていた。
夕方の部活動をやっているような時間帯に提出物を取りに3度ほどお母さんと一緒に登校したと思うと話していた。
「学校と相談して、登校できるようになるためのリハビリみたいなもんだったと思う」とお母さんは話していた。
他にも体育祭や文化祭、合唱コンクールには参加していたよう。
「準備もしていないのに何故参加できるんだろう?」
と毎回、お母さんは疑問に感じていたようだが、
「本人は受験もあるし、学校に戻る何かしらのきっかけを必死に探していたんだと思うな~」と思い返していた。

第六章 受験を諦めた夏休み
担任が持ってくる書類の束。見ることもなく普段は机の上に無造作に置いていた。でも、定期テストが入っているときだけは気になって中身を見て少し解いてみたようだ。その度に全く歯が立たない自分の学力に凹み、自己嫌悪の気持ちが強くなっていった。
そして夏休み前の7月頃に
「完全に受験を諦めました。その瞬間からですかね、緊張の糸が切れて自分なんてこの世に居ても迷惑をかけるだけだって。現実を見たくない。将来のことについて考えたくない。もう、自分は生きていても意味がないって考えるようになりました。死にたいって初めてそのとき思いました。」
衝撃的な話だったが、涙を必死でこらえる僕の前で樹己君は堂々と座っていた。ここからは想像でしかないが、多分、その経験を糧にして乗り越えたからこそ、俯瞰して当時の自分を見ることができているんだろうなと感じた。

④へ続く

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