上を向いて歩いていこう
ここで、オードリーヘップバーンの名言をご紹介した。
「美しい唇である為には、美しい言葉を使いなさい。美しい瞳である為には、他人の美点を探しなさい」
美しく生きていくための知恵だ。
でも過去の私はどうだった?
「人の悪い部分を探している」
あなたもこんな自分になったことはないだろうか? 私はある。
例えば、過去の安部元総理の緊急記者会見。内容は別として、聞いててこんなことが頭をよぎった。
「やっぱり、育ちのいいボンボンはわからないな」「苦労したことも無いからわからないだろうな」など。
こうなるともう止まらない。「あの時もそうだった」「あの問題も…」と次から次へと悪口が止まらない。
そうすると、どんどん気分が悪くなる。自分とは関係ない人のことでネガティブな気持ちになっていく。何とバカバカしい。
「怒りは自己を正当化し、正義になりすまそうとする」
腹が立ったら自分が信じる正しさについて一日考える。
この怒りで自分を正当化していないだろうか、正義になりすましていないだろうか。それぐらいのゆとりを持つべきだと思う。
そろそろ生きる速度を遅くしないといけない。
「人の悪口を言う」、「人が失敗すればいい」と思うことは、自分に呪いをかけているのと同じと聞いた。
悪口の主語を脳は理解できないとも聞いた。悪口を言えば、脳は自分に向けられたものと思う。だから気分が悪くなる。そして怒れば怒るほど自分を正しいと思い込むようになる。自分の正義がすべてだと思うようになる。
でも正義には制約がある。「決して人を傷つけてはいけない」。
もし自分の正義が他人を傷つけてしまったら、自分の間違いを認めなければならない。
自分の間違いを認めることは勇気がいる。責任も取らなければならない。でもそうすることで濁った水は澄んでいく。そして、怒りが自分を正当化するのは自分の心のくせかもしれない。だから同じことを何回も繰り返していた。
「怒りは心に盛る毒」だった。
生きていれば怒りを持つことはいくらでもある。
夜一人でいる時、怒りを持つことがある。その怒りの多くは自分が育てたものだった。嫌いな人のことを想像して頭の中でその姿を大きくしていた。世の不条理に水を注いで怒りの芽を自分で育てていた。
気づいたら思うことをやめる。代わりに楽しいことを考える。人は便利なことに怒りと快楽を同時に持つことは出来ない。
外から持ち込まれる怒りもある。そんな時は水に書いた文字のようにさらりと流して受け取らない。「水に流す」をこんなときにも使う。
怒りはやがて身体を蝕む毒になる。冷静な判断もできない。何ひとつ良いことは無かった。
「今見える世界は自分の作り出した世界」だった。
職場で嫌な人がいるといつもその人ばかり見ていた。嫌で嫌で仕方がない。「どんな人にもいいところがある」と思っても目につくのは嫌なことばかり。でも何故かその人ばかり見ていた。
そしてその人の「こんなところがいけない」と自分を基準にして勝手に評価している。でも評価は評価で相手が変わることはない。
嫌なものなのに見てしまう心理は不思議だ。人間はプラスとマイナスがあればマイナスに惹かれるものかもしれない。
でも、今自分が見ている世界は相手が見ている世界と違う。
怒りを持って見れば怒りの世界になる。
この世界は自分が作り出した世界であることに気づいた。
それでも見渡せば街にはいっぱい素敵なことが溢れている。
だったらその素敵なことを探しに行こう。
ATMで後ろの人を待たせてしまったら、「すみません」と軽い会釈をして「お待たせしました」と言って立ち去る。こんな人は素敵だ。ひと言でその場の空気が清々しくなる。
大きな荷物を抱える人を見かけたら、「大丈夫ですか」と気にかけ「お手伝いしましょうか」と言葉を続ける。分かっていても次につなげるひと言が出なかった。
「お待たせしました」「お手伝いしましょうか」となかなか言えない。私はそんなに急いで何をやっていたんだろう。
見渡せば、街にはいっぱい素敵なことがある。
渓谷の紅葉を求めなくても、ゆったりとした時間も経験できる。
だから日々の自分が感じた温かさを忘れない。ちょっとした言葉で時間の流れは緩やかになる。
恥ずかしくてちょっと戸惑ったけれど自分も言ってみた。そのとき助かったのは自分だった。だからこの先はこんなことを目指したい。
「誰かの日常にちょっとしたしあわせを」。
それも与えるのではなく「添える」。
嫌なこともたくさんあった。
嫌なことに目を向けて批判することを否定はしない。
でも素敵なこともあった。だからもっと素敵なことに目を向けたい。
嫌なことはこの先も無くならない。でも素敵なことも決して無くならない。しあわせは仕合わせであり、仕合せはめぐり合わせと聞いた。
(公式) しあわせ=いいめぐり合わせ+悪いめぐり合わせ
だったら、素敵なことがちょっと多くなる世界を探していきたい。
上を向いて歩いていこう。
そして、素敵なことを探しに行こう。
素敵な人を応援しよう。
これがこれからの私の目標だ。