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美しいラブストーリー
落語家立川志らくさん、この方の祖父は深谷伊三郎といって、お灸の世界ではとても有名な方だそうです。生粋の江戸っ子で、その気っ風の良さは、
志らくさんに受け継がれているかもしれませんね。
ある時、伊三郎の妻(志らくさんの祖母)が体調を崩して入院したそうです。伊三郎は毎日お見舞いに行き、病床の妻を前に持ち前の江戸っ子の「べらんべ~」で励まし続けていました。
ところが、ある日からピタッと伊三郎が来なくなりました。
実は、伊三郎も同じ病院に入院していたのです。
この日、伊三郎が突然祖母の元にやってきました。
いつもの「べらんべ~」で励ましていましたが、その顔は痩せこけ、祖母は伊三郎の体調の悪さを覚ったそうです。
江戸っ子の小っちゃい励ましの言葉、「べらんべ~」を前に祖母が答えたのは、「うん……」のひと言でした。
なんて美しいラブストーリーなんだろう。
志らくさんが自分の出演する朝の番組で語っていました。
途中、私の想像も入れて、このラブストーリーを書いてみました。
「うん……」の言葉の裏に、なにごともそぎ落とした後の美しさを感じます。
生々しさを超越したラブストーリーです。