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黒い糸のからまり
からまりは小さな糸のダマから始まる。
さまざまな色の糸がダマをつくり、ダマとダマが絡まってやがて大きな糸の塊になる。
赤色、黄色、青色は、それぞれ同じ量が混ざると黒色になるという。だから、この塊も徐々に黒くなるかもしれない。汚れて埃をかぶれば気味悪い黒色に成長する。
ややこしく絡み合った糸の塊は、人のもたらす利害関係のようだ。困ったことに、絡み合ったままの方が安定したりする。
小さなダマを大きく成長させたのは、「忖度」かもしれない。他人の心中をおしはかる「忖度」も、本当は自分を守るためにある。その人を守るためではない。
「忖度」のエネルギーは、観客が映画館のスクリーンで見るようにその人を巨大化させる。でも実際の姿は私たちと変わらない。だからどんなに守られても凶弾に倒れることがある。
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