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community letter 210905

「考えてみると世間の大部分の人は、悪くなることを奨励しているように思う。 悪くならなければ社会に成功しないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊ちゃんだの小僧などと難癖をつけて軽蔑する」
(夏目漱石 「坊ちゃん」より)

奨励しているとは大袈裟な気がするが、案外思い当たる節がある。 職場で事件が起きると急に張り切る人がいる。ここぞとばかりに目がキラキラする。

台風の前も同じようなことが起こる。
「台風がくるというと、昔はどうしてあんなに張り切ったのであろう。」
と脚本家の向田邦子さんが幼い日の思い出を書いている。

「祖母や母が気追い込み、台所と廊下を行ったりきたりする。父親は背広にニッカーボッカー姿で懐中電灯の電池を確かめる。家族の光景が懐かしい。」

そして
「兄弟げんかも、夫婦げんかも、母と祖母のちょっとした気まずさも、台風の夜だけは休戦となった。一家をあげて固まっていた。そこがひどく嬉しかった。父も母も、みな生き生きしていた」と懐かしんでいる。

大きな災害や事件が起きると、今の小さな災いや悩みが小さく感じられることがある。しかしこの小さな悩みは消えたわけではない。誤魔化していただけだ。
でも時には誤魔化しも必要。ピンと張りつめた糸は少しの衝撃で切れてしまう。ゆっくり行きましょう。


さて、今月はこんなライフスキルに取り組んでみます。

■「何でも一番になる」をやめた時、仕事がもっと楽しくなる

お店の業務は多様、種々雑多です。接客も分ければ、家族連れ、年配客、学生グループ・・・
テーブル片付け、オーダー取り、商品運びなど。それぞれについて、それぞれの店がノウハウを持っています。マニュアルにまとめたり、店長、先輩メンバーが指導もしています。

でも人には、向き不向きがあります。接客の好きな人もいれば、不得意としている人もいます。そして、一口に接客と言っても、家族連れ、男性客、女性客、グループ客、年配客など色々です。業務で分ければ、オーダー取りや商品提供など違う切り口で接客を分けることができます。

アルバイトの中でも、家族連れのお客さん、子供連れのお客さんに対してとてもいい印象を与える人がいます。

そういう時には、その人の言動を見ればいいのです。
真似ればいいのです。近づけばいいのです。
分からなければその人に聞けばいいのです。

ここでマニュアルのように文章や写真にまとめると途端に色あせたものになります。

また、店長や先輩パートは負けまいと自分のスキルと比較します。
時には、否定要素を探すこともあります。
何でも一番になる必要はありません。

「待ち客の案内スキル」は○○さんがうまい!と思ったら自分も見習いながら「待ち客の、案内は○○さんを見習って」とうまくかわすことも必要です。その方が自分の負担も減らすことができます。全てが完璧、一番であることはありえません。

でも、今まで「○○さんがうまい、○○さんを見て、○○さんに聞いてみて」
なんて指導されたことはありません。
だから、すべてが中途半端な仕事になってしまいます。

一生懸命な人ほど陥りやすいことかもしれません。
プライドが高い人ほど陥りやすいのかもしれません。

「何でも一番になる」をやめた時、仕事がもっと楽しくなります。

今の仕事の中で、「何でも一番になりたい」という自分の気持ちに気づいたら、「何でも一番になる」をやめてみるという行動を起こしてみてはいかがですか?

そして、自分が一番になれるものを見つけて磨いてください。
他人の得意分野、出来ることを見つけてください。
それを整理してメンバーに伝えることもリーダーの仕事です。

さらに考えてみると、「何でも一番になりたい」「…ならなければ」と思う人はいつも他人の目を気にしています。
悪いことではありません。自分を磨く上で必要なことです。でも度を過ぎると辛くなります。

そんな時に試して頂きたい行動があります。


■自分がどう思われているかを考える時間を減らす

「嫌われててもいい」
「軽蔑されてもいい」
「笑われてもいい」
「馬鹿にされてもいい」
「見下されてもいい」

って思えるようになると、どんどん楽しく楽になります。

「自分がどう思われているか」ということを考える時間を丹念に減らしていく。こんなことを意識してください。

「自分がどう思われているか」ということを考えてはいけない、ではありません。徐々に減らして行くんです。無理をしないことです。
自分が徐々に変わっていくのを楽しんでください。

「そんなこと、どうでもいいや」と思えてくること
これができれば、人間関係という言葉から少し開放されます。

今月はこんなことに挑戦してみてはいかがでしょうか

■「何でも一番になる」をやめる
■自分がどう思われているかを考える時間を減らす

意識して行動すれば、いつかは無意識にできる習慣になります。
そのために行動を起こした時の出来事や自分の感情を記録してください。

そうすると新たな発見があります。


例えば…

「何でも一番になる」という人は、相手に対して隠した劣等感があります。
それが裏返すと「そんなこと、あいつに言われたくない」と、相手に対する怒りになることもあります。
その時は、事実と感情を分けて考えるという術が役立ちます。

間違っていれば、その事実だけを正します。そうすることで心の暴走が防げます。

それに、「相手は私ほど私のことは気にしていない」ことに気づきます。
そもそも相手も自分と同じです。相手も自分のことを、その相手であるあなたが気にしている、と思ってます。

そして、「自分がいつも否定的なこと、思いに焦点を合わせている」ことにも気づきます。
だから意識した行動をさらに増やすとすれば…

■否定的な思いに焦点を合わせない
■相手に対して不必要な劣等感を持たない

こんな行動を起こしてみてください。

でも、もしそんな行動を見つけても、「ダメ」だと思いすぐに直さないことです。「また、そうなってるな」と確かめること。すぐに直そうと思わないことです。自分に規制をかけないことです。そうすることで徐々に変わります。行動が習慣化されます。


今回ご紹介したライフスキル(行動・習慣)

■「何でも一番になる」をやめる
■自分がどう思われているかを考える時間を減らす
■否定的な思いに焦点を合わせない

■相手に対して不必要な劣等感をもたない

ぜひトライしてください。




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