ほのぼの童話(5) 「雨だれの前奏曲」
「・・・・・・・・・・・・・」
弱々しいピアノの音に、ふと目をあけた健太は、思わず「あっ」と叫びました。
いつの間に入り込んだのでしょう、ぼさぼさの髪に、青白い顔をしたおじさんが、ピアノを弾いているではありませんか。
おじさんは、健太の方を振り返って言いました。
「君、この曲好きかい?」
「ん・・・・あ・ん・ま・り・・・」
「そうだろう! 君がとーってもつまらなそうに弾いていたので、僕は思わず出てきてしまったのさ」
そう、健太はイヤイヤ練習していたピアノに疲れて、横のソフア