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今春の旅行についての覚書(4)

春の島流し 5日目 大阪

私の産まれた産婦人科がある、12年間住んだ場所。言葉のくせはこの土地から学んだはずで、故郷と呼ぶべき場所。

自分が住んでた場所はそうでも無いけど、梅田はやっぱり都会ですね。人混み。人混み。人混み。久しぶりにあの量の人間を視野に入れた。人酔い。どう足掻いたってぶつかる量の人間、どこに逃げても人、人、人。地図上で徒歩3分の場所に永遠にたどりつけない。B1F?どこの?上下の概念が常に付きまとう。店が多すぎる。Googleマップ上の見え方がおかしい。人混みから逃げ込むようにして入った観覧車でようやく落ち着いた。

この日は友人の家に泊めてもらって、旅行中のどのホテルよりぐっすり眠れた。寝る直前までぽつりぽつりと喋ってて意識が途絶えた。寝落ち通話してる時とほぼ変わらない。起きても昼までダラダラして、観光しよう!と思えるほど目新しい場所はなく、友人の買い物に付き合うような形で繁華街に出る。唯一気になってた最果タヒ展にだけお邪魔して、甘い物食べて、それくらい。
相手は現状の私が最も気を許している相手のひとり。ただその声と温度がそばにあるだけで、帰る場所のように感じて、そういう相手がこの地に居ると言うだけで、ここはやっぱり帰る場所のひとつだと思い直す。場所より人に居着いているだけかも。
他の地では行きたい場所いっぱいあっていっぱい悩んだけど、悩まなかったな。無感情だったかも、悪い意味では無いと思う。どの場所にもまあまあな記憶があって、それを変に塗り替える気にもなりはしなかったということ。

今回の旅行で得た感覚のひとつとして、これはすごく大きい。大阪にはもう帰れないんだなーと思ってた。けど、12年もすごした場所には、土地そのものとそこに居着いている人たちに対して、私はあまりに平凡に愛着と郷愁を抱いている。それらは私を拒絶しない。当たり前だし、元の自分の馬鹿らしい悲観と被害妄想が過ぎただけのこと。色々と面倒で、大阪の土産物を買って帰ることは今まであんまりなかった。今回は持って帰るね。まあ元々こう、地元のことめちゃくちゃ愛してるあの方のような知識も熱もないので、こんな土産あるんだー程度で買った。夜行バスまでほんのすこし時間があったせいだよ。運が良ければ貰えます。でも荷物になるのでそんな量はありません。

兵庫と滋賀にも3年間ずつ住んでたとは思うんだけど、いかんせん幼すぎて覚えていないことと、まあそのなかでも12年間って長いよね。あ、でも、神戸に泊まった時に、思い出したことがあった。兵庫に住んでいた頃、要は幼稚園生の頃、好きなパンがあって。デニッシュパンの上の真ん中に、みかんとカスタード。飾り付けみたいに細いペンのアイシングがかかっててあまくておいしいパン。神戸で朝ごはん探しにイオンの食品売り場入ったら、記憶と全く同じものが。思わず買った。久々に食べたけど美味しかったな。あれ、兵庫のパンか何か?多分そんなことない、シンプルなやつだけど。みかんのカスタードデニッシュって検索すると、味的には似てそうなのいっぱい出てくるけど形が違う。もうちょい丸くて平べったいやつ。母親についてスーパー行って、併設のパン屋にそれが売ってるの見て毎回買って貰ってた記憶がある。久々に食べてもおいしかったな、また食べたい。みかんデニッシュ、見つけたら教えてください。

写真は、友人が食べたがったシナボン。
あまくて、おいしかった。

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