物語1 「人と竜と」
この街の奥の森にはとても大きな竜がいるという。
だれも近づくことがないその森に近づいた。
綺麗な綺麗な蒼い目の竜は
帰れと言った
少女は振り返らずに走り出した
次の日も少女は
木苺をたくさん持って森に入った
竜は寝たふりをして少女が帰る足音を聞いた
次の日も次の日も少女は木苺、ぶどう、木の実をたくさんおいては
「また、あした」と言って帰った
そしてそんな日が1年も続いた
変わらず少女は雨の日も嵐の日も気にせず竜の元へやってきた
「どうして毎日来るのだ。いい加減食ってしまうぞ」
少女に言った。
すると
少女は顔に花を咲かせながら「やっと声が聞けた!治ったのね?!」
治った?何を言っている。俺はどこも悪くない。そんなことを思いながら竜は目を閉じた。
「もう人間は懲り懲りだ。この子供もじきに・・・」
少女はその日が過ぎても毎日来ては、人間の過ごす日々のことを話しながら時を刻んだ。
そんな時間はあっとういうまで、少女は少女ではなくなった。
「これだから・・・人間はいやなんだ」
蕭々と吹く風の中、聞き飽きたと思っていたか弱く、愛情深く
「また、あした」
という声が聞こえる、小さな花を愛らしく見つめて・・・
ーendー
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