57歳の正社員
高齢者介護の仕事の休日、ハローワークでその日面接が受けられる会社をピックアップしてもらい、電話をかけてもらい面接の予約を入れた。
何かしたい仕事があった訳ではなく、どんな仕事だとしてもやってみなければ分からないと思っていた。逆に、やったことの無い仕事で、新しい人生経験、人間関係、スキルを身に付けるチャンスだと思い、ワクワク感があった。
面接をしてくれたのは、足利むつみ会の理事長で、その会社の最高責任者だった。普通は担当職員が行うのだけど、たまたま電話をとったのがその人だったようだ。丁度同じぐらいの年齢で、大学時代の話で、全学連等で共通認識があり意気投合してしまった。帰りがけに、「できれば、今日、採用の合否を教えて欲しい」とお願いしたら「私がOKなので、大丈夫ですよ」と言われた。
ハローワークでの求人では、パート職員での募集だったが、採用では、正社員としての採用になっていた。
入ってから分かったのだが、パート職員の間では57歳の正社員ってどういう事なんだろうと話題になったらしい。3年もしない内に定年なのに、もっと若い人を雇うか、パートで雇うべきということらしい。
仕事は知的障害者の職業支援員というものだった。障害者レベルとしては、A型、B型、生活介護という分類があり、知的レベルでの選別になっていた。配属になったのは、生活介護レベルで、普段の生活ができて、何か用事のできるレベルの人のお世話係の仕事だ。
皆さん通いで、ほとんどの人が施設側の送り迎えを利用して10時頃から4時頃までを施設で過ごす。その際に、利用者間のトラブルや、ご本人の生活全般の補助を行う仕事だ。
職員の話が分かるレベルの利用者がほとんどで、気配りさえおこたらなければ、問題ないものだった。
その職場に入って1か月したら、先輩職員2人が移動になり、別の部署の職員が責任者として配属になった。移動になった2人の中が悪く配置転換が行われた。別の部署から来た方と私は相性がよく、楽な気持ちで仕事に専念できた。
60歳の定年まで、その会社に2年8か月お世話になった。定年後、嘱託職員として勤めることを勧められたが、失業保険を3ヵ月もらえる権利を使ってみたいのと、別の職種の仕事もしてみたいと思い、60歳で退職した。
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