GM コニサーズチョイス スキャパ22年(2001-2024) MALTOYAMA 11th Anniversary Edition
テイスティングノート
total : 89
nose : 89
taste : 89+
finish : 88
華やかでオーキー、ハイトーンなトップノートからオレンジにグレープフルーツのワタ、蜂蜜、奥から素朴な白粉に似た麦、時間経過でパイナップルなどのトロピカルフルーツに湿った流木、焼菓子やアーモンドなど好ましい要素が顕現
テイストが非常に味わい深く、オークニーモルトらしいヘザーハニーから溌剌としたココナッツ、カシューナッツにオリエンタルなスパイス、仄かな潮気に湿った黒土
フィニッシュは素朴な麦の余韻がココナッツミルクを纏い心地良く抜けてゆく
開栓直後からフルスペックとはいかないものの暖かい部屋で数日寝かせると本領発揮してくるタイプ、バー飲みならば30分程のんびり付き合って欲しい地味旨な逸品
先日の東京ウイスキーフェスティバルで話題を掻っ攫ったGMコニチョスキャパ
ここの所GMからのリリースが続く2001ビンテージだがスキャパ蒸溜所の閉鎖期間とギリギリ重なっており、現在の10分の1ほどしか生産量が無かった時期の希少な原酒
閉鎖とは言えバランタインのキーモルトとして年に数週間ハイランドパーク蒸溜所の職員の手で造られていた記録が残っており、閉鎖前から関係のあったGMには特例的に割当があったのではないかと推測されるなんともマニア心を擽る出自を持つリリース
(この辺り、以前話題になった95付近のノンピートレダイグに通ずるものがありますね)
スキャパ蒸溜所は稼働再開と併せて大規模リューアルを行っており、製造工程における大きな所では発酵時間の短縮と木桶の発酵槽導入がありますが、2001ビンテージはいずれも閉鎖前のスタイルが採用されており、特に全蒸溜所で最長帯の発酵時間は華やかながらもどことなく垢抜けない独自のスタイルを構成する1要素ではないでしょうか
また、スキャパ蒸溜所の大きな特徴はロッホローモンドと並んで数少ないローモンドスチルを使用している点にもあり、ともするとケミカル、一般にはトロピカルと評されるフレーバーはスチルの影響を多分に受けていると思われます
スキャパ蒸溜所自体、根強いファンはいるものの少なくとも国内ではマイナー蒸溜所といって差し支えない一方、アイランズで唯一と言って良いエステリーで華やかな香味構成でありながら島モルト特有のブリニーさや素朴さからスペイサイドモルトとも一線を画しており、生産量の少なさも相まっていつブレイクしてもおかしくない要素を多分に孕んでいると感じます
エリア的にも比較的近い北ハイランドモルトであるプルトニー好きな方などは飲んでみると意外なほどハマるのではないでしょうか