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教育実習にむけて

◎実習前日、原稿用紙に書きちらしたままの文です。

 私が今回の実習で意識したいことは大きく分けて二つある。一つは、「児童の心の動きに気がつき寄り添うことや自分との関わりに安心感をもってもらうこと」。そしてもう一つは「一緒に教材のおもしろさを見つけ対話できるような授業を作ること」である。

 私は今、中学校の国語教師になりたい。
 昨年の実習前までは、教師になろうとは思えていなかった。なぜなら、私には足りない部分が多すぎると考えていたからだ。例えば、私は大勢の人と話すのに苦手意識がある。また、教師として「正しい人間」とみられる責任に怯えていた。そして、一つ一つの生活指導や行事などでどのようなふるまいをするべきかも全く分からないし、教師になるべきではない、もっと明るく盛り上げ上手な人間がやるべき職業だろう、と思ってしまっていた。

 しかし、昨年の中学校での実習で考えが変わった。一番大きかったのは、とにかく生徒と接することが幸せで、その生徒たちと共に国語の授業を作り上げることが本当に楽しくて仕方がない、と思えたことだろう。生徒の言葉をきくことが、生徒の考える姿を見ることが、純粋にとても好きだと思った。

 初めの一週間、私は生徒のことを知ろうとこちらから質問することが多く、もちろんそれでも良い関わりはもてたと思う。しかし、二週目からは意識を変えて、私についての話も積極的にしていくようにした。私の好きなこと、苦手なこと、弱い部分なども素直に話すと、生徒たちがそれに共感してくれたり興味をもってくれたりし、また新たな対話がうまれた。そうしていく中で生徒から悩みを相談されることもあり、そのときには自分自身が悩み苦しんだ経験やこよなく愛する文学から得た視点などをもとに言葉を選んで伝えることができた。

 そうしたときに私は、「不完全な自分をさらすことの価値」や「私自身が生徒と接する意味」を実感した。「正しい人間」である必要はなく、むしろ足りない部分もある私だからこそ寄り添える生徒も多い。そして、素直に接そうと自分から心を開き向き合うことで、人と話すことへの苦手意識は自然と薄まっていた。

 また、担任の先生から「大切なのは『やり方』よりも『在り方』」というお話をいただき、それが非常に印象的だった。生徒指導や行事でのふるまいとして私が思い浮かべていたのは、それぞれの「やり方」だった。自分が大切にしたい「在り方」をもてば、解決することは多そうだと思った。

 このように、気がつけば自分が教師になることを否定していた問題点がことごとく解消していた。その経験から、私は今「私だからこそできる生徒との接し方を考え、学び続ける、人として魅力的な教師」を理想像としている。

 そのため、私は今回の実習で、「児童の心の動きに気がつき寄り添うことや自分との関わりに安心感をもってもらうこと」を意識したいと考えている。
 自分が小学五年生だったときのことを思い返すと、私は苦しくなってしまう。ちょうど、自分と他者のもつ価値観の違いや、自分の自意識の過剰さに気がつき悩み始めた時期だった。どんな顔をして教室にいればいいのか、友達や先生とどのような距離感で接すればいいのか、そんなことを考え苦しんでいた。おそらく周りから見れば平気な顔をしていただろうと思う、そうするしかなかった。そんなときに安心感を与えてくれる大人の存在は私にとってかなり大きかった。私も児童の嬉しい気持ちや楽しい気持ちにはもちろん、不安感による心のゆらぎにも気がつこうとする姿勢をもち、安心感をもってもらえる接し方をできるようにしたい。

 また、「一緒に教材のおもしろさを見つけ対話できるような授業」を作りたい。まず私だからこその教材の楽しみ方や問いを見つけて、児童と一緒にそれぞれ問いを深めながら授業を作り上げていきたい。そのためにも、正しく対等であろうとする姿勢を忘れないようにしたい。

 今までの経験を活かしつつ、新たな経験を重ね自分を更新していく充実した実習にしたいと強く思う。何事にも積極的に取り組みたい。
 考えすぎて時間をかけすぎてしまうところや緊張してしまうところなど、自分の弱点への対処法も考えていきたい。

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