見出し画像

教育実習をおえて

◎実習最終日、原稿用紙に書きちらしたままの文です。

 今回の実習は私にとって、「共に在る」ということについて本気で考え、実践しようとすることができた実習だった。もちろん、言葉としてはそうあるべきだと考えていたし、前回の実習でもそのような意識はあったものの、その難しさやそうすることの意味について、今回初めて深くとらえることができたのだと思う。

 実習初日に実感したことは、子どもたちは一日や一時間の授業の中にそれぞれのストーリーをもっているということだった。それは子どもたちの背景や意識の流れといったものが組み合わさってできているのだが、初日の私には一人の子をじっくりと見つめ思考を働かせ、やっとある程度の想像ができるという感覚であった。それに対し○○小の先生方は、クラス全員のストーリーを完全に把握しながら授業をしているように見え、感動し、同時に「私にはこんなことはできない」と不安になった。

 しかし、そのイメージは徐々に変わった。確かに先生方はそれぞれの子どもについてかなり把握をしてはいるのだが、それはもともと完全にできているのではなく、その時々の子どもに真剣に向き合い、それに対する言動をその瞬間で判断しながら寄り添っていく姿がそう見せているのだと気がついた。それならば、今の私なりに子どもに真剣に向き合い、寄り添おうとすることで、そうした姿に近づけるのではないかと考えた。

 私は二時間とも言葉についての国語の授業を行った。二回目の授業では、子どもの疑問がまだ少し残っている場面で、そのままこちらに都合のいい説明をしつつ先に進めるか、子どもの疑問に向き合い時間をかけて対話を続けるかの選択が迫られる場面があった。そして、私は時間をかけるほうを選んだ。そのためワークシートの提示が遅れ、それを充分に活かしきれなかったので、その選択が必ずしも良かったとは限らない。しかし、今の私がそちらの選択をし、子どもと向き合い言葉を見つめることができたということは、私にとって大きな意味をもつと考える。同時に、その選択を可能にしたのは、同じクラスの実習生や担任の先生と共に、力を入れて取り組んだ教材研究であったということも忘れないようにしたい。

 授業後に、内容についての発見や感想を教えてくれる児童が多くとても嬉しかった。特に「先生らしい授業だった。ちゃんと教えようとしてくれるところが」というように伝えてくれた児童のことが印象的である。私らしさを見つけてくれている子がいたということ自体も、その内容も、本当にこれからの私の教職に対する気持ちを支えてくれそうだと感じる。

 そして、私が今回の実習で意識したかったのは、「児童の心の動きに気がつき寄り添うことや自分との関わりに安心感をもってもらうこと」、「一緒に教材のおもしろさを見つけ対話できるような授業を作ること」だった。まだまだ不十分ではあるが、今の自分にできる限りのことをし、これらについて意識しながら過ごすことができたと考える。また、この二つについてなんとなくわけてイメージしてしまっていたのだが、「共に在る」という点でかなり密接に関連しているのだと気がつくことができた。「共に在る」ことについて、私はこれからも問いを重ね、学び続けていきたい。

 考えたことや学んだことは本当に多いので、ここではいくつかのことにしぼって書いた。これからまた自分の中で考えを深めておきたいと思う。
 今この瞬間の○○小学校で、子どもたちはもちろん様々な方々や事物と出会い、共に学べたことは、私にとって忘れられない貴重な経験になった。この先の人生のお守りにしていきたい時間である。大変さもあったが、それは全て私にとって大切なことに関してだった。そのような環境で学べたのは多くの方々に守られていたからだと思う。こうした学びの場をもてたことに心から感謝し、それをこれからの自分の姿で示していきたい。○○小の先生方のように、色や温度、重さのあるような言葉を自分の中にもち、子どもと対話を重ねられる教師になりたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?