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ネコゴコロとヒトゴコロ その31

猫にもあくびはうつる?

 周りにあくびをしている人がいると、別に眠いわけでもないのに、ついあくびがうつってしまうことがあります。
 うつったときは、ちょっと気恥ずかしい気分になるものですが、実はあくびが伝染するのは「共感力」がある証拠といえます。
 私たちは共感を大切にする生き物です。人が笑えば自分も笑う。人が泣けば自分も思わずもらい泣きをしてしまう。そうやって人に共感し共感してもらうことで人間関係はスムーズになるし、築かれていきます。
 あくびがうつるのも同じ原理。ですから、別に恥ずかしがることではありません。頻繁にあくびがうつる人は、それだけ共感力が高く、良好な人間関係を築ける人なわけですから、自慢してもいいくらいです。

 あくびがうつるためには共感力が必要なことを実験で証明した心理学者がいます。スコットランドのアンダーソン博士がその人。
 博士の研究(2010 University of Stirling)によると、人間であくびがうつり始めるのは5才頃からで、それより幼い乳幼児ではあくびはうつらないことがわかったといいます。
 なぜ5才以下幼い子はあくびがうつらないのか。
 それは、彼らが自分中心に生きているからだと博士はいいます。すべて周りが世話を焼いてくれるので、別に共感する必要がないのだと。
 それでも5才くらいになると、世界が自分中心に回っているわけではないことを思い知るようになります。幼稚園にでも入れば新たな人間関係が生まれますからなおさらです。そうやっているうちに共感力が培われ、あくびもうつるようになるということ。

 あくびがうつるのは人間だけではありません。同じ霊長類のチンパンジーやサルはもちろん、犬もあくびがうつることが実験で確かめられています(2013 東京大学)。
 実験では、見知らぬ人のあくびよりも飼い主のあくびのほうが犬にうつりやすいことが判明。それは人間でも同じ。そのことから、研究グループは飼い主とのきずなが強ければ強いほどあくびはうつりやすいという結論を導き出しました。犬は飼い主に共感したがりますし、共感を求めたがる生き物ですものね。

 ならば、猫はどうか。
 犬は群れで行動するので、元々協調性が高くて、飼い主の気持ちに寄り添おうとする習性があります。一方、猫は単独行動が好きだし、独立心も強くて、飼い主より自分を優先しがち。
 なので、共感力が低いと思われているのか、猫にあくびがうつるかどうかの研究はまだなされていないようです。
 でも、愛猫があなたのあくびにつられてあくびをしてくれたら気持ちがつながっているような気がして、なんだかほんわか嬉しいですよね。

 そんなほんわか気分を味わいたいなら、是非ご自分で確かめてみてください。もしお宅に子猫がいるならチャンス。子猫のほうが飼い主に依存しているので、それだけ飼い主の気持ちに寄り添おうとする意欲が高いと思われますので。

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