ベトナムお正月体験ミニツアー
Chúc mừng năm mới. 明けましておめでとうございます。
おめでとうと言ってよいかどうか迷いましたが、こんな時だから、まず生きて年を越せたことに感謝の気持ちを込めて、そう言いたいと思います。
依然として、なかなか自由に動けない日々が続いているのではないかと思います。そんな中、自分の体験や自分が撮った写真を通して、その場所の空気やにおいなどをほんのちょっと感じてもらえたらと思って、これを書きます。
今から3年前、ベトナムでお正月を迎えた時の思い出です。
日本でお正月といえば新暦の1月にありますが、ベトナムではこれと併せて旧暦のお正月(テト Tết)があります。ベトナムでは、後者の旧正月の方が大きなイベントとなっています。
旧正月の期間は毎年変わり、例年1月から2月にあるようです。2021年は2月10日~2月16日までです。旧正月前後の日にちも含めると、会社や学校は1週間から2週間近く休みになります。休みが近づくに連れて、大人も子供もそわそわ、ふわふわしていました。
その期間は帰省する人が多く、私が生活していた街では、あんなに多かったバイクはどこへやらと思うほど人が減りました。歩道にバイクが停まっていない光景を初めて目にして驚いたものです。歩道は駐輪場でもあるのです。来て間もない頃は、なぜ歩行者の私がバイクに道を譲らなければならないのかと、悶々としていました。でも、この時ばかりは堂々と歩道を歩きました。
突然ですが、みなさんに質問です。菊の花はどんな時に飾りますか?
鑑賞菊のように、大切に育てて愛でることもあると思いますが、日本では、仏壇やお墓など誰かが亡くなった時に飾る(お供えをする)ことが多いように思います。ベトナムでは、お正月にも菊の花を飾ります。色は黄色です。その数は2~3本ではありません。大きい鉢にたくさん植えられ、それを玄関の前に飾ります。私は「菊=亡くなった人への花」というイメージを持っていたのですが、ここで見た菊の花を見て、そのイメージは変わりました。鮮やかな黄色は、明るい年に導いてくれるような力強さがあり、生きている人の背中を押してくれるようでした。
ちなみに、地域によって異なりますが、菊の他に桃の花や梅の花も飾るそうです。私の地域では桃や梅の花が咲くシーズンではないようで、造花が枝にくくりつけてありました。本気度を感じました。
各家庭の花も十分きれいなのですが、公園もおすすめです。そこには干支のモニュメントと共に、色とりどりの花が植えられていました。
公園では、きれいな花と一緒にたくさんの人が写真を撮っていました。みんなモデルばりの見事なポージングです。老若男女問わず、本当に撮り慣れている・撮られ慣れているのです。
ベトナムでは多くの人がfacebookを使っています。私の知り合いを見ても、SNS好きな人が本当に多いなぁと感じました。ベトナムでは至るところにWi-fiがあり、インターネットを利用しやすい環境があります。それはSNS利用率が高い理由の一つだと思います。
すぐにWi-fiを使える環境に身を置いていたため、日本へ帰ってからも、カフェやレストランに行くと、まず店内のWi-fi情報を探すクセがついてしまったのでした。
話は変わって、干支はベトナムと日本で少し違います。日本の2021年の干支は「牛」ですが、ベトナムでは生活に身近な「水牛」だそうですよ。他にも猫がいたり、山羊がいたり、豚がいます。そんな違いもおもしろいなぁと感じました。
そして食べ物ですが、もち米の中に緑豆や豚肉を入れて、葉っぱに包んで長時間煮たバインチュン(Bánh Chưng)という料理を食べます。(これは地域によって形や名前が変わります。)日本でお雑煮を食べるように、ベトナムではこれが欠かせないようです。私はお正月は日本に帰らず、部屋で過ごしていたのですが、いつもお世話になっているおじさんが、お正月に帰らない私を不憫に思ったのか、バインチュンを2つもくれました。もち米のため、けっこうどっしりとしているので、お正月はバインチュン三昧でした。
まずそのまま食べ、ベトナム語の先生から、もし余ったら薄く切って油で揚げるのもおいしいよと、教えてもらったので、それも試しました。そのままはもちもちの食感、揚げバインチュンはクリスピーで少しお焦げみたいな食感を楽しめました。日本でもお餅が余ったときに、味付けを変えて食べたり、ピザにしたりするなど工夫をして食べると思いますが、ベトナムでもそのようでした。
どうでしょう。ベトナムのお正月。今の状況が落ち着いたら、ぜひ本物の体験を。
休んでかれ。