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防衛大臣会見 令和7年1月10日(金)における質問
防衛大臣会見 令和7年1月10日(金)におけるぼくの質問です。
A:契約につきましてでありますが、今般の機種選定につきましては、提案社から提案書を受領して、機種決定をするまでに1.5か月程度を要していますが、過去10年間の主な装備品の機種選定の期間については、同様の基準で比較した場合に、概ね1か月から2か月程度で完了しております。今回の選定も、同様な期間と様式で実施したものであると聞いております。また、提出された提出書の具体的な分析評価は、あらかじめ定められた評価基準書、これに則りまして技術的な知見を有する各部署を含む航空幕僚監部の複数の関係部局の部署の担当者で構成された評価チーム、これにおいて実施をされました。その上で、同チームの作業の結果については、航空幕僚長から大臣に上申をされたのち、事務次官を長として防衛装備庁の長官等も参加する諮問会議で諮りながら、妥当な結論であるとの答申も経てきております。このように防衛省としては、提案書の内容を公正かつ厳正に評価した上で機種選定を行ったものでありまして、このような結論が出たということでございます。
Q:ブリーフィングに私出たんですけれども、その際にですね、誰も乗ってなくてですね、「一つも候補に乗ってなくていいんですか」という話をブリーファーの方にしたらですね、後ろに控えていた空自の制服の方々がですね、ブリーファーに、「いや我々はT-6は乗っています。」という話をされたんですよ。それで、「後ろの人たち、そういうこと言ってますけども、T-6だけ乗ってほかは乗ってないって、これ不公平なんじゃないですか。」というふうに申し上げたんですね。「いや後ろの人の話は聞かないでください、私の話だけを聞いてください。」というふうに止めたんですよ。なんかこうT-6で空自が乗った経験があるということを知られてはまずかったのかな、と。なおかつ、その後ですね、別の記者さんが、T-6ってどこのメーカーのエンジンを積んでいるんですか、と聞いたらですね、誰も答えられなかったんです。選定された機種のですね、エンジンすら知らない人たちがブリーフィングしているとは、これどういうことなんだと僕は思いましたけれど、初めからもう決まっているんで緊張感がなかったのかなと、よっぽど、プラットアンドホイットニーのカナダが作ってますと申し上げようかなと思いましたけれども、大人なんでやめておきましたが。そういうことをしていると、やはりこれは、初めから官製談合なんじゃないかと前のT-7の時も同じようなトラブルがありましたし、空自のUH-Xの救難ヘリも採用時には23.75億円という単価で採用したのに、実際買ったときは50億円超えてて、2倍ということが。これって防衛省の原価計算ってどうなっているのか、これってやっぱり官製談合やってるんじゃないですかと疑われても仕方がないかと思うんですけど、大臣いかがでしょう。
A:初等練習機と言いますと、パイロットを養成するために必要な航空機でありまして、これは事故が起こることは決して許されません。そういう意味では、選定につきましてもですね、こういう安全面につきましては厳正にですね、審査をして決定をしたものだと私は思っております。従いまして、これ以上の詳細についての評価につきましては、事務方にですね、改めてお問合せいただきたいと思います。
実は中谷大臣は重要なところはスルーしています。3候補のなかでひとつだけ搭乗していたのは不公平ではないかというところです。
またトライアルをしないで、つまり実機を確認しないでの調達が恒常化しているならばそれも問題です。
また23.75億円で調達を決定したヘリコプターが2倍以上で調達されたことに関して、原価計算がしっかりなされているのか、官製談合ではないのか答えていません。
Q:P-1哨戒機についてお尋ねしたいんですが、P-1哨戒機はですね、石破総理が防衛庁長官の時にですね、大変反対されたけれども、海幕が押し切ってこれを開発を強行してしまったと。結果としてですね、開発費が高騰し、機体の値段も今、米国のポセイドンの2倍、維持費はかなり、機体、エンジン、システム、全部専用ですから、かなり高いと。おそらくは1桁高いくらいになっているのではないかと思います。取材する限り、可動率は3割程度しかない、対潜能力はかなり低い、部隊ではかなり悲鳴に近い声が上がっているというふうに聞いております。これを何とかしようという努力、もしくは、いつまでに可動率を向上させるとかという計画はございますでしょうか。
A:私も日本の防衛装備品を見ましてですね、あまりにも海外の装備品が多いなというのが率直な考えでありまして、基本的には自国で生産をし、そして自国で開発をした装備品、これを開発をしていくべきだと思っております。P-1につきましては、ほぼ国産でですね、つくったものでありまして、私は時々搭乗しますけれども、非常によくできた航空機だと思っております。今後、他国の生産や開発も進んでいきますので、更に開発を進めて向上させていく必要がございますが、なんでもかんでもですね、外国の装備を購入するということではなくて、あくまでも自国でですね、生産・開発する努力、これを続けていくことは必要だと思っておりますので、しばらく、このP-1を使って哨戒作業をしながらですね、更に能力の高い航空機の開発、これを目指すべきじゃないかなというふうに思います。
Q:すみません。ということは、大臣、いくら能力が低いものであっても、何倍も、例えば他国のものよりも高くても、それは国産だから使用し続けなければいけないんだと、こういうふうなお考えということでよろしいですか。
A:それは、程度の話でありまして、当然限られた予算でございますので、そういう中で装備品の選択は行われていくことになりますが、先達てインドネシアに参りましたけど、インドネシアも自国でですね、生産をするという努力も続けておりますし、韓国や他の国々も、あくまでも自国の装備品の生産能力、これを上げていこうと努力をしておりますので、我が国も、例えばドローンなどは、ほとんど無人機についても今皆無の状態でありますが、こういった問題に立ち遅れることではなくて、あくまでも自国でですね、何とかつくれないかという努力もしていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
Q:P-1の可動率の低さというのは、酒井前海幕長も認めているんですけれども、大臣認識されていますか。
A:状況につきましては、改めて、今日海上幕僚長と会いますので、聞いてみたいと思いますが、状況や事実関係の確認の上でですね、必要があれば厳正に対処していきたいと考えます。
Q:その可動率の低いP-1をベースに、今度電子戦機をつくるとか、あとは、P-1が対潜能力の低さの1つは、ソノブイにあるという話も聞いておりますが、海自はリムパックに行くときは、ソノブイをアメリカ製買っていくんですよ、でないと勝てないからだというふうに聞いております。しかも、持って帰ると問題になるので、全部帰りに捨ててくると、これ税金の使い方としてどういうことかという話があるかと思うんですが、それはなぜかというと、電波法の問題で米国製のソノブイは電波法に違反するので使えないと。本来であれば、適した周波数帯を国産のソノブイは使っていない。しかも、もうかなり長い間、更新もされていないし、ずっと古いものをつくり続けている。国産を続けることによって、何かメリットがあるんですか。将来的に、例えば能力が上がるとか、お値段が下がるということがあれば、それはそうなんでしょうけれども、将来的にもそういう見込みがない。防衛省の方にそういう指導する能力もないとするならば、これは安い外国産を買った方がよろしいんじゃないですか。
A:御指摘はありがとうございます。現状とかですね、事実関係を確認をいたしましてですね、今後、防衛装備の生産につきましては協議をいたしまして、必要があればですね、厳正に対処していきたいと思ってます。
Q:そろそろ雪まつりが札幌で始まるかと思うのですが、これ陸自が全面的に協力しているかと思うのですけれども、今陸自のですね、北部方面隊、充足率が非常に低くてですね、半分切っているような部隊がいっぱいあると聞いているのですけれども、そういう雪まつりに人間を出すような余裕って実際、陸自にあるんですか。
A:以前のように、大規模に行っているとは聞いておりません。今から20年ほど前からですね、こういった雪まつり支援については、防衛省は労力を出さないというような方針になっていると聞いておりますので、後ほど確認をしてまいりたいと思います。
海自のソノブイについて海幕から以下の物言いがありました。
>本日の防衛大臣定例会見において清谷さまから「海自のP-1がリムパックへ行く際、ソノブイはアメリカで購入している。そして持ち帰らず投棄している」とのお話がありましたが、この点について御認識に齟齬が生じているのではないかと考えたため連絡させていただきました。
海自P-1が海外にて訓練する際は日本国内でソノブイを搭載して参加しておりま
すし、使用しなかったソノブイは国内にそのまま持ち帰っております。また、海上自
衛隊と米海軍のソノブイは相互運用性があることから、ご指摘の電波法上の問題は生
じておりません。
これは実は微妙な回答です。専門家に確認したところ、 派遣訓練の際にP-3CやP-1が携行するソノブイは米国製で間違いはない。 回答にあるのは、「海外にて訓練する際は日本国内でソノブイを搭載して参加」ということであり、国産か米国製は回答がされていません。国内で搭載するのは当たり前。ソノブイは発射するのに少量の火薬を必要なので海外基地に ソノブイを輸送することは大変難しく、当然、予備のブイ等を含めて全てP-1(またはP-3C)に搭載(機内で梱包)していく。
帰国時に余ったソノブイを捨てることはあり得ない。
国産であろうが米国製であろうが同じVHF帯を使用する。ただし、国内の 訓練海面においては、電波法上の制限により一部チャンネルの 周波数が使えない。(周波数帯域及び電波形式はNATOの基準で決まっているので共用性がある)。
さて中谷大臣は国産の意義を強調されていますが、性能品質に劣ったものを何倍、下手すると一桁高い値段で延々と調達することは是とするのでしょうか。
これが将来性能品質、コストが劇的に改善されるであれば別ですが、そのような将来は予想しがたいわけです。毎度申し上げているように事業を統合して、調達期間を圧縮することによって売上を拡大し、生産性を向上しなければならないが、それを官民共にする気がない。そして輸出市場で商売することも更々考えていない。
どう考えても無理ゲーです。80年代までならまだしも、巨額の財政赤字を抱えて、少子高齢化で人口が減っている現状で無駄な国産兵器を買って国防を弱体化させることに意味はない。むしろ有害です。やがてコマツや住友重機のように散々税金食い散らして撤退します。中谷大臣は現状を本当に把握しているのでしょうか。メーカーや市ヶ谷のご説明だけ聞いているのではないでしょうか。
インドネシアはも国産化を進めているのはその通りですが、同国は国産品の輸出を目指しており、既に実績も上げつつあります。それに装甲車両などで取ることとの協業も行っており外国の技術をうまく取り組んで、軍事産業の育成をしています。
輸出する気がまったくなく、事業統合するきもなく、自ら生産性、性能、品質、コストの向上を図る気がない日本のメーカーとは異なります。またインドネシア軍は自衛隊とちがってまともな軍事常識があるので、装備開発をまともに指導できます。小銃の手入れすらできない「亜軍隊」の自衛隊にはそれができません。
今後も中谷大臣には防衛産業のあり方について質問していきたいと思います。
■本日の市ケ谷の噂■
現代のアサルトライフルは銃口を下にして保管する。これは銃床がポリマー製のために、銃口を上向きに保管するとクリーニング時に残ったオイルが銃床に垂れて、銃床が劣化するため。だから銃口を下向けにてオイルの受け皿をおく。だが自衛隊では未だに銃口を上に保管、との噂。
財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf
財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
日本の装甲車事業は日本製鋼所と防衛省が潰す
https://japan-indepth.jp/?p=86042
補正予算という麻薬が将来の国民を蝕んでいる
https://japan-indepth.jp/?p=85936
海自の無人機、MQ-9Bの調達とインド軍の調達の違い
https://japan-indepth.jp/?p=85823
European Security & Defenceに以下の記事を寄稿しました。
Japanese MoD selects Beechcraft T-6C as the JASDF’s new primary trainer
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41765/japan-selects-t-6c-for-jasdf/
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊 次期初等練習機選定は審査が僅か一ヶ月で試乗もなし
https://japan-indepth.jp/?p=85525
月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態
<atarget="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHF12MWN?tag=seesaashoppin-22&linkCode=osi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51Z-pY35W4L._SL500_.jpg" alt="紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社"></a><br><a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHF12MWN?tag=seesaashoppin-22&linkCode=osi&th=1&psc=1">紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社</a>
Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927
Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903
Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217
Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790
月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。
<a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B0DHW7L7FM?tag=seesaashoppin-22&linkCode=osi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61Z1LfmYXKL._SL500_.jpg" alt="軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]"></a><br><a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B0DHW7L7FM?tag=seesaashoppin-22&linkCode=osi&th=1&psc=1">軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]</a>
Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315
European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/
東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551
月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695
次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651
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