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アーティスト イン スクール〜小学校で制作した3週間

6月のことです。
私は3週間に渡って小学校の空き教室をお借りして、絵を描きました。

窓から見える山、子どもたちの授業中や遊ぶ声が聞こえてくる教室で、朝から夕方までみっちり、だいたい縦1メートル×横2メートルの水彩画を4枚。
こんなサイズを描いたのは久しぶりです。

実は思いの外広い空間で展覧会をすることになったのです。
せっかくだから、大きな作品を描いてしまおう。
売れる売れないなんて頭から放り投げて、絵と向き合おうと。
そうだ、大きな絵を描くモチベーションを保つ為に、子ども達に絵を描く姿を見てもらおうと。

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なぜ見てもらおうと思ったのか。

なぜかなぁ。
なんか子どもたちがとっても息苦しそうに思えた時があって、真面目にカチッとちゃんとしてて大変そうだなぁって。本当のところは分からないけど、いつもいい加減でサボっている私には、そんな風に感じてしまって。

こんな人間もいるんだよ。こんな生き方もあるよ。
絵を描くって楽しいよ。楽しいことに没頭するのは素敵だよって。

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大きかったので、木炭でザクっとあたりを取りました。
夜が題材だったので、黒いインクを使いました。
インクと木炭の粉と水彩絵具が予想よりも面白い反応をして、私はもうワクワクしながら色を重ねて、離れて座り込んでは絵を長め、絵の上にかがみ込んで細かい部分を描き込みました。

そんな姿を、子ども達が教室を移動する時に廊下から眺めていきます。

いい大人が、毎日毎日、ただ絵を描いている姿を。

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中には興味を持って休み時間に訪ねてくる子もいました。毎日やってきては「あ、ここ描いたね」「ここはまだ描かないの?」と細部まで見ている子、画材に興味があって質問する子、鉛筆をカッターで削っていたらやりたがる子が多くて一時流行ったり、一人で来てポツポツと語っていく子もいました。

私もポツポツと絵の中の人物の話をしました。

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死神と棺桶に入っている人を見て「あの人は悪いことをしたから死神がきたの?」と聞かれて「悪いことをしなくても人はいつか死ぬんだよ。」って話したり、右下のテーブルから出ている足について「きっと殺人事件!」って盛り上がってた子達は犯人探しをしていたり。私とは違う物語を話してくれる子がいたり。私にとっても制作のヒントをもらえることもありました。

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出来上がってくるにつれて、廊下を通る子どもたちから「わぁ!」って声が上がったり、高学年の子が静かに足を止めたり、クスクス笑いで足早に歩いていく子がいたり。何考えてたのかなぁ。

3週間の制作が終わり、展示会場へ。

さっそく親さんと見に来てくれた子もいました。
「子どもに解説してもらいました。」と感想ノートに書いてあり、何を話したんだろうなぁ。。嬉しいなぁ。

学校に先生以外の大人がたまにいる。親でも先生でもない大人と交わる。
それって子ども達にとって、意外と面白くて刺激的で逃げ道にもなって、いいんじゃないかな、と大人の立場として思います。


そうそう、先生達ともちょこちょこ話せて面白かったです。

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