染み出してくる哀愁と創造をみてるのがたのしい存在。キライになれる人はいない。
台所おさん師匠。この人に出会った時の衝撃のお話です。まだ一回だけだけど、気になる方です。噺家には、いろいろな方がいます。古典の描き方が絶妙な人、創作で斬新なテーマを持ってくる人、現代風にわかりやすい人、お客を置き去りの芸で見事さを魅せる人。
そのすべてにおいて、噺家の自分カラーが、どこかに垣間見えて、その魅力が高座の空気をつくる。
台所おさん師が、高座に上がってきた時、ワタシが思った第一印象は、「こいつヤバいんじゃないか」。こいつって言ってスミマセン!ワタシの心の声なので。
なにがヤバいのか。
スゴいって意味ではなく、不安定な空気がしたんです。真打ちで寄席のトリを務めるコトもある師匠なので、芸に対してではなく、なんかどう進んでいくのか不安な舟というか。
先に読んでいたプロフィールには、東京から大阪まで歩いたコトあるとか、歳下の師匠(柳家花緑)に弟子入りしたとか、お気に入りの缶コーヒーがあるとか。
古典ではなく、新作だったせいもあるかもしれない。マクラでは、どこへいく舟なのかわからなかったんです。
ネタに入って一変するのかなあっと思いきや、そうでもない。
ただ、なに?なに?ニヤニヤしてきた。会場からもクスクス聞こえ出した。
マルボロを表現したいがために、赤白の手ぬぐいをこのために探したとか、おもしろいんですけど。
兄ィと辰のしでかす、子どものようなイタズラの噺が、Vシネみたいであり、どんどんニューシネマパラダイスみたいな、キュンとする気持ちにさせられる。
シンプルなストーリーで、落語的レトリックも感じない。それでいて、掴まれる。
リアルな台所おさん師が、この物語の中に存在しているような体感。たぶん、この人のコトを会場みんなスキになったと思う。
台所おさん 兄ィと辰の珍騒動
もう、反則じゃない?って思う存在。なにやっても、おもしろいよw
愛すべき噺家、台所おさん。
気になる存在でございます。
http://rakugo-kyokai.jp/variety-entertainer/member_detail.php?uid=213
あとで知ったのですが、五代目小さん師が他界した日に初高座に登ったそうです。
運命的です。