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芸が香る雲助

五街道雲助。

人の名前として、こんなに美しい名前がある。師匠の芸に触れたのはほんの数回である。どの演目をやっても恐ろしくて、そして美しい。

落語ってもっと面白くて可笑しいものだと、思ってけどこの師匠は一線画す。もちろん笑わせてもくれるのだけど、どこかでほろっと涙が出てくる。そして、何より恐ろしい。

江戸の落語では、それほど頻繁に使われないハメモノという三味線や太鼓が、すばらしいタイミングで挿入されてくる。これがまたグッとくる。

初めて聴いたのは、「たちきれ」という演目。芸者と若旦那の儚い恋物語。最期に線香がたちきれる三味線と師匠の噺が、とてつもなく悲しくて儚い。

芸を尽くすというのは、こんなにも孤独で美しいのものなのか。いつかは師匠の「夜鷹そば屋」を間近で聴いてみたい。

鈴本演芸場でこんなにステキな寄席をやっている。ワタシも最期に聴いておきたい。

五街道雲助という名は、ホントに美しい。芸が香るとは師匠のことだと思う。


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