CDショップ閉店 顛末記 ~CD業界のたそがれ その2
*今回のおススメBGM:Randy Newman/Sail Away
ここのところミセスのMVで騒動が起きていて、それキッカケで久しぶりにこのメロディを思い出した。 大陸的なオーケストラアレンジに胸が熱くなる。
劇的なLPレコードジャケット(見開き)の写真も大好きだ。
閉店が決まるまで、それなりに紆余曲折があった。
去年の秋くらいだったろうか。
本部からいきなりこんな電話が入った。
「閉店することにしたのですぐに今後のイニシャル発注を止めるように」
電話の主は常務だった。
本部といっても社長の自宅で、常務は社長夫人だ。
「イニシャル発注」とは、CDソフトの発売時に入荷する最初の枚数のことで、発売日のひと月~ふた月くらい前に発注〆切のことが多い。
いきなりそこから入るのか! 閉店するにしても順序ってものがあるだろうに!
常務と電話で言い合いになった。 あたりまえだ。
やり方が衝動的というか、言い方もいつもの常務とは違って高圧的だった。
常務といっても何十年も売場に出てないような人にそんな指図を受けるいわれはないと思った。
こちらも熱くなってその電話がどういう終わり方をしたのかもよく覚えていない。
まぁ、その一件は何となく下火になったがイヤに煙たい感じで火種は残ったのだった。
閉店が近いのは肌で感じていたが、ちゃんとそれなりにロードマップを描いて話し合いを重ねたかったのだ。
会社だけではない。 働いてる従業員がいて、(ショッピングセンターに入っているので)デベロッパーの同意もいる。
そして何よりお客様がいるんだから。
それらを順序立てて滞りなく進めていかなくてはならないじゃないか。
とは言え、毎月赤字を積み上げているのは確かだから、こちらもエラそうなことはいえない。
その後、社長(八十代後半!)や次長(社長と常務の長男)と幾度か打ち合わせをしていき、ついに閉店の日にちも決まった。
そんなときあのニュースが流れたのだ。
「銀座山野楽器 CD販売を7月末で終了」!
(その3につづく)