研究ノート 日本の原発は、新規制基準により、世界一安全と言いますが、そのような言い方もでき、たとえば、システムの信頼性を代表する苛酷炉心損傷事故発生確率は、確かに世界一優秀、その評価法は、原発の信頼性を原発の内部事象(機器故障と人為要因)のみで評価した場合、外部事象(地震、津波、火山、竜巻、隣接工場爆発・火災、森林火災、航空機衝突など)まで含めれば、支配要因は、地震に起因する発生確率、内部事象+外部事象では、年間平均マイナス5乗となり、日本は、優位ではなく、米仏並み

新規制基準の意味

原子力規制委員会は、日本の新規制基準が世界でいちばん厳しい基準であると吹聴していますが、世界の原発は、すべて同じ難易度の立地条件ではなく、それに応じた規制基準を設け、対策を施すのは、当たり前であり、日本の原発の立地条件、具体的に言えば、世界でいちばん地震や津波の影響を受けやすいため、より広範囲に、一般論を展開すれば、立地の自然条件が世界でいちばん厳しいから、世界でいちばん厳しい対策を施さないと運転できないと言うことを意味しており、当たり前のことをしているわけであり、世界の立地条件の異なる原発の安全基準を同一ものさしではかろうとするから、不自然な解釈になるのです。

新規制基準があぶり出した真実

日本の原発は、新規制基準により、世界一安全になったと言いますが、ある側面では、そのような言い方もできるものの、たとえば、システムの信頼性=安全性を代表する苛酷炉心損傷事故発生確率は、確かに世界一優秀であるものの、その評価法は、原発の信頼性を原発の内部事象(機器故障と人為要因)のみで評価した場合であり、外部事象(地震、津波、火山、竜巻、隣接工場爆発・火災、森林火災、航空機衝突など)まで含めれば、支配要因は、地震に起因する苛酷炉心損傷事故発生確率であり、内部事象のそれは、年間平均マイナス8-9乗、内部事象のそれは、年間平均マイナス5乗、よって、内部事象+外部事象では、年間平均マイナス8-9乗+年間平均マイナス5乗≒年間平均マイナス5乗となり、日本は、地震の影響により、世界では、優位ではなく、米仏並みの安全性と言うことになり、新規制基準は、日本の原発の立地条件の脆弱性を誰の目にも分かるように数値化したのです。

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