私は、『文藝春秋』2025年2月号のエマニュエル・トッド「イスラエルは神を信じていない」(pp.180-190)を読み、ユダヤ教研究者の立場から、違和感を覚え、ユダヤ人が、ショアから学んだことは、激しく抵抗しなかったことで、そのことは、いまの政府と国民が認識しており、ユダヤ人は、生き残るために、常時、生きるか死ぬかの戦いを強いられているのであり、ハマス支配のガザ地区攻撃もその一端、著者は、そのあたりの認識がなく、第三者的立場で、薄っぺらな平和主義を主張しているように感じました

私は、『文藝春秋』2025年2月号のエマニュエル・トッド「イスラエルは神を信じていない」(pp.180-190)を読み、ユダヤ教研究者の立場から、違和感を覚えました。
本論に入る前に、著者がどのような人物なのかを記せば、ユダヤ系の仏国の歴史人口学者・家族人類学者であり、同誌に掲載されたインタビュー内容は、仏国のオンライン誌「Elucid」に掲載された記事の翻訳版です。
イスラエルの人種の75 %はユダヤ人です。私は、ユダヤ教研究者として、『旧約聖書』の内容と形成過程を研究しており、当然ですが、世界で発生したユダヤ人迫害や歴史的大虐殺(ユダヤ教研究者は、ホロコーストと呼ばず、ショアと呼ぶ、欧州全体で数百万人が大虐殺された)の内容も深く認識しています。
インタビュー記事のキーワードは、
・自己目的化した暴力の行使
・戦争自体が自己の存在理由に
・イスラエル人=アラブ人と戦う人
・イスラエル極右の過激化は必然
イスラエルはユダヤ国歌でない
です。
著者は、いまのイスラエル人に対し、本物のユダヤ人ではないと主張していますが、どのような定義で、本物か偽物かを主張するのは、自由ですが、著者は、ショアをどのように受け止めているのだろうか?
ユダヤ人が、ショアから学んだことは、されるがままで、激しく抵抗しなかったことで、そのことは、いまの政府と国民が認識していることであり、ユダヤ人は、生き残るために、常時、生きるか死ぬかの戦いを強いられているのであり、ハマス支配のガザ地区攻撃もその一端です、著者は、そのあたりの認識がなく、第三者的立場で、薄っぺらな平和主義を主張しているように感じました。

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