Niraikanai
石田シンヤ個展「Niraikanai」
2022.8.10 〜 8.14
Gallery Room 305
京阪からギャラリーへの道のりはいつも迷子になる。
うだるような暑さを振り払うようにして4階までの階段を登った。
次はきっとJRで来よう、前もそう心に誓った気がするが、今回もまた、自分に言い聞かせた。
落ち着いたトーンの中に、まばゆい沖縄の色彩。
足を遠く、太平洋に浮かぶ島まで伸ばしてまで撮りたい景色が、たしかにそこにあったのだろう。
ポートレートとしての美しさは主張することなく、あくまでもスナップとしての切り取り方だと感じられた。
画角も、サイズも、額縁も異なる作品の数々だが、
あくまでも一つの作品群としてまとまっており、上品で見やすい。石田シンヤさんらしい見せ方だと思う。
リネンの生地に寄った皺、ふくらはぎの裏についた砂、壁から今にも剥がれ落ちそうな古いコンクリート、さまざまな質感がありのまま写し出されている。
めまぐるしく変わる天気に抗うことなく、身を委ねて、気まぐれにシャッターを切った作品。
見るものを強ばらせることなく、力を抜いて心地よく鑑賞することができた。
印象的な色づかいがハイビスカスひとつだけなのも良い。どこまでも静かで、遠くから波音が聞こえてくるような空気感が沖縄のゆったりした時間の流れを感じさせた。
ロケーションに特別感を求めることなく、あるがまま等身大におさめられた桃源郷であった。
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