地方財政あるある#4.とりあえず円グラフにしがち(歳入予算2)
-先輩。前回の続き、いいですか?
OK、マニュファクチャー。
-・・・。
・・・。
-で、歳出予算の話に入る前に、基本的な財政知識の話があるというところで、終わってましたが。
そやったな。自主財源と依存財源、一般財源と特定財源。聞いたことある?
-聞いたことはあるような気がします。けど、聞いたことがある程度です。
了解。じゃあ、言葉の意味だけ抑えとこか。まず、自主財源と依存財源。自主財源っていうのは、自治体が国に依存せずに独自に調達できる財源のこと。例えばどんなんがあると思う?
-税収ですか?
そう。自主財源の代表例が税収入。あと、繰入金も自主財源やな。
-そうですね。
あとは依存財源。依存財源は、国とかの意思で決められた額を交付されたり、割り当てられたりする収入のこと。地方交付税、国庫・府支出金、市債とかが依存財源やな。
-なんとなく分かります。
なんとなくでええよ。厳密に理解しようとすると、すぐつまづくところが出てくるし。あ、市債なんやけど、前に自治体の意思で大小を一定コントロールできるって言ったし自主財源っぽい気もするけど、これは依存財源。まあ、今は、深く立ち入らなくてもええわ。
-はい。
で、収入に占める自主財源の割合を自主財源比率って言って、まあまあ重要視される財政指標の一つやねんな。自主財源比率が高い=財政運営上の自由度や安定度が高い、ということなんで。
そう言えば、三割自治とか四割自治とかって、聞いたことある?
-ありますよ。学校で習いました。
せやな。この三割とか四割というのが、この自主財源比率のことを指してるんやな。
-あっ。言われてみれば、そうですね。
OK。じゃあ次に一般財源と特定財源の話に行こか。これ、めっちゃ大事。財源の使途が特定されてなくて、どんな経費にも自由に使える財源が一般財源、財源の使途が特定されている財源が特定財源。一般財源は一財(イチザイ)、特定財源は特財(トクザイ)って略したりするな。
-前に「補助金は特定財源、地方交付税は一般財源」とおっしゃってましたよね。
そう。よう覚えてるやん。一財の代表例が市税と地方交付税。特財の代表例が、国庫・府支出金(つまり補助金)、それと市債。
-はい。
で、財政課は一財をめっちゃ気にする。なんでか分かる?
-まぁ、使い方が自由なお金なので、多いに越したことはないですよね。
その通り。多くの自治体が企業誘致をがんばるのも、企業が来てくれれば税収があがり、一財が豊富になるからやね、なんとなくは分かってたと思うけど。
-ええ。
ただ、企業誘致もそんな簡単に進むわけもなく。ということで、主に市税と地方交付税の一財は多いに越したことはないけど、増やそうと思って簡単に増やせるもんでもない。今は細かい話になるけど、市税が伸びても、その75%分は地方交付税が減らされるという仕組みになってたりもするし。ということで、自由に使えるお金は大事に使いたいので、たとえば新規事業をやりたいという部署が出てきたときに、まず特財を確保できないのかに着目すんねんな。
-特財を確保できないのか。
要は、補助金をGETできないかということやね。補助金の情報は、基本的には原課が一番把握しているはずので、そこで取り漏れのないようにしてほしいというのが財政課の切なる願い。一財を使わなくて済む方法がないのかどうか、財政課が常に意識するのはそこやねんな。
-なるほど。
そんなところかな。歳入予算についてポイントをまとめるとこんな感じ。
まだ序盤やしな。あと、あまり意識しなくてもええことなんやけど、款・項・目・節って分かる?
-あ、いや。
まあ、普段は意識せえへんしな。地方自治法206条にこんな規定があんねん。
(歳入歳出予算の区分)
第二百十六条 歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。
で、歳入予算の円グラフは「款」で区分した項目やねん。まぁ、忘れてもらっても全然ええけど。
-あ、はい。
まぁ、歳入予算はこんなところかな。じゃ、歳出予算はまた今度ということで。
-ありがとうございます。
全然ええよ。ほな。
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