![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54022709/rectangle_large_type_2_21b2801a5736ee9581d90aa52cf80ef5.png?width=1200)
地方財政あるある#14.いつも財政が厳しいと言いがち(その3)(実質公債費比率)
今日も昼はカップ麺かな。
-先輩、またカップ麺ですか。
せやねん。カネ無いねん。で、あれやな、昨日に話が終わらんかった財政指標の話の続きが気になってるんやんな?
-そうです。さすがにもうバレてますね。いつも丁寧に教えていただいて、ありがとうございます。
ええねん。教えることでオレのアタマの整理にもなるし。
(会議室にて)
で、まずはおさらいから。昨日は代表的な財政指標として、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率の3つが大事で、そのうち経常収支比率だけ説明したんやったな。
-そうです。なので、残りの2つを教えていただきたくて。
◆いわゆる「健全化法」
残りの2つの指標は、いわゆる「健全化法」(地方公共団体の財政の健全化に関する法律)で算出が義務付けられててな。
-健全化法。
そう。某自治体が財政破綻、正確に言うと財政再建団体入りを宣言したことをきっかけにできた法律でな。その法律では4つの指標を算出、もっと言うと監査委員の審査に付して、議会に報告し、公表せなあかんことになってて、それをまとめて健全化判断比率って言うねんな。
-実質公債費比率、将来負担比率以外に、2つあるということですか。
そう。健全化判断比率=①実質赤字比率、②連結実質赤字比率、③実質公債費比率、④将来負担比率。決算カードにもちゃんと載ってんな。
で、この4つ、何が違うって、まず算定に含める会計の対象範囲が違う。
-あまり聞きなれないものばかりです。
せやろな。ここはあまり神経質にならんでええけど、念のため軽く補足しとこか。
▲一般会計等…普通会計とほぼイコール。(=公営企業会計以外の会計。公営企業会計は水道事業や鉄道事業のこと。)
▲公営事業会計…法律の規定で特別会計を設けて経理を行う必要がある公営企業や事業に係る会計。
▲一部事務組合、広域連合等…ざっくり言うと、複数の市町村が共同で行政や事務処理を行う組織。消防、ごみ処理、福祉などの領域でよくある。詳細は地方自治法参照。
▲地方公社、第三セクター等…ざっくり言うと、地方公共団体が出資している法人。
まあ、詳細は総務省のホームページに譲るとして。
で、①実質赤字比率、②連結実質赤字比率は省略。実質赤字額、連結実質赤字額がある自治体はこの比率が出てくるんやけど、その赤字額が出てくる自治体はほとんどないし。平成30年度は実質赤字額があるのが1自治体のみ、令和元年度はゼロ。
-そう言えば、平成30年度の実質収支赤字の自治体も1つだけでしたよね。
鋭いねぇ。そこは同じ話をしていると思ってもらっていいと思うわ。とりあえず実質収支が赤字だったらめっちゃヤバいのと同様に、実質赤字額、連結実質赤字額があったらヤバいという理解でOKやな。
◆実質公債費比率
ということで、健全化判断比率の3つ目、実質公債費比率の話に入ろか。まず、公債費って何やった?
-借金返済のお金ですよね? 荒っぽいですが。
そう。その理解でええで。というわけで、実質公債費比率は、公債費の割合のこと。以上!
-割合って、何に対する割合ですか?
冷静やな。説明しずらいし、スルーしようと思ったのに。
-すいません。
いやいや、謝らんでええで。じゃあ、ちょっと説明するわ。まずは分母から。ざっくり言うと、分母は「1年間の経常一般財源収入」。
-「(X)標準財政規模-(Y)元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額」っていう式からは全然イメージできないですけど。
せやねぇ。本当は地方交付税制度の話をせえへんと正確な話がでけへんのやけど、まあ一応、解説しとこか。(X)標準財政規模っていうのは、その自治体の経常一般財源の標準規模のこと。「おたくぐらいの自治体なら、これぐらいの経常一般財源収入があると考えられるよねー」っていう金額と思ってもらったらええかな。実際の収入額とは基本的には無関係で、あくまで理念上、計算上の数値という点は要注意やねんけどな。分かる?
-なんとなく、はい。
なんとなくでええわ。次に(Y)元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額。元利償還金っていうのは、要は借金返済額のことで、借りたお金(つまり元金)とそれに対する利子の支払額のことやね。で、準元利償還金は、「準」というだけあって、元利償還金に類するようなものと思ってもらったらええわ。
-はい。気にはなりますが。。。
うーん。たとえば、他会計への繰出金のうち、その会計から支出された元利償還金とかやね。まあ、準元利償還金は細かくなりすぎるからこれぐらいにして、ポイントは「元利償還金に係る基準財政需要額」ってどういう意味かって話。これも地方交付税制度にからむ話なんやけど、地方債にはいろいろ種類があって、種類によっては借り入れしたらその一部を地方交付税として国が措置してくれる、っていう仕組みがあんねんな。「交付税バックがある」とか言ったりして。で、その返ってくる額のことを「元利償還金に係る基準財政需要額」と認識しといたらええかな。
-そんな仕組みがあるんですね。
ということで、分母=(X)標準財政規模-(Y)元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額。今の段階では、あまり正確に理解できてなくてもええしな。ざっくり「1年間の経常一般財源収入」(X)。ただし、「交付税バック分は除く」(Y)って感じで。
-とりあえず、分かりました。
それでようやく分子の話。分子=((A)元利償還金+(B)準元利償還金)-((C)特定財源+(Y)元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額)。ついてこれてるか?
-やばいです。。。
もう少しや、がんばれ。(A)元利償還金+(B)準元利償還金は、もうええよな。借金返済額とそれに類するもの。
-はい。
で、(C)の特定財源っていうのは、ここでは地方債の償還(=借金返し)に充当した特定財源のこと。(Y)はさっき説明済。
-はあ。
要は、実質公債費比率は一般財源ベースで考えるっちゅうことやねん。基本は、「(X)想定される標準的な経常一般財源収入」に対する「(A)元利償還金+(B)準元利償還金=つまり借金返済額」。ただし、交付税措置で入ってきている分は対象外として考えましょうということで(Y)交付税バックを除外して考える。そして、一般財源ベースで考えるから、(C)特定財源分も除きましょう、ということやねんな。
-はあ。
目が泳いどる。ということで、しっかり説明すると、(と言っても、これでもざっくり説明やねんけど)こんな感じになってまうねん。さしあたっての理解とすれば、実質公債費比率は財政におけるエンゲル係数と覚えてもらってええと思うで。
-財政におけるエンゲル係数。
そう。家計でいうと食費の割合。財政で言うと借金返しの割合。
-はい。正直、分かってないと思いますが。。。
ええよ。ここら辺の話を初めて聞いて100%理解できる人なんて、多分おらへんし。
-ありがとうございます。時間をかけて説明していただいて恐縮なのですが。。。
ええってええって。で、この実質公債費率が25%が早期健全化基準、35%が財政再生基準って言われてて、これ以上になるとヤバいでって話。ちなみに、早期健全化基準はイエローカード、財政再生基準はレッドカード。
-サッカーみたいですね。
ぶっちゃけ、イエローとかレッドでとかで覚えてるから、日本語の正式名称は忘れがちになんねんけどな。
-ははは。
あ、実質公債費比率の定義だけで、えらい時間くうてもうたな。あと、将来負担比率の話もあるけど、今日は時間的に無理やな。
-そうですね。
あ、ラーメンのびとる。
-申し訳ありません。そういえば、焼きそばじゃなくて今日はラーメンですね。
せやねん。ラーメン、つけ麺、僕、、、やめとこ。
-たしかに、それはやめといた方がいいと思います。
せやな。