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地方財政あるある#15.いつも財政が厳しいと言いがち(その4)(将来負担比率)

やっと給料日。ラスト麺やな。

-先輩。

来ると思った。続きが気になって気になって夜も眠れへんかったんやろ。

-はい。一睡もできませんでした!

ウソつけぃ。

◆将来負担比率

(会議室にて)

おさらいやけど、代表的な財政指標として、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率の3つが大事で、経常収支比率、実質公債費比率まで説明したやんな。

-はい。

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で、実質公債費比率は健全化判断比率の4つの比率のうちの1つでした、と。ちなみに健全化判断比率の4指標、覚えてる?

実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、でしたよね。

正解。ええ記憶力しとるな。

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っちゅうことで、将来負担比率の話やな。

-はい。お願いします。

まず、大雑把な理解としたら、「1年間の経常一般財源収入の何倍の借金があるか」を示すのが将来負担比率。

-実質公債費比率も将来負担比率も、分母は同じでしたよね。ということは、実質公債費比率の分子が「借金返済額」だったのに対して、将来負担比率は「借金」になるってことですか。

ご名答。すばらしい。ちゃんと理解できてるやん。

-いえ、なんとなくでしか理解できてないですけど。

ええよええよ。どんどん進んでいこう。じゃあ、分子の話。キミの言うとおり、分子は借金、つまり地方債の総額やね。地方債以外にも、将来に支出を伴うものもあるから、正確には(P)将来負担額って言うけど。

-はい。

ただ、貯金があったらその分は負担としてカウントしてもいいよね、ってことで基金残高、つまり(Q)充当可能基金額は差し引く。あと、実質公債費比率と同じように一般財源ベースで考えるから、(R)特定財源見込額も差し引く。さらに、交付税バック分、つまり(S)地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額も差し引く。見込額っていうのは将来的に収入することが見込まれる分ってことやね。で、そうやって差引計算したら、実際に将来支出する予定の金額が出てくるということになるわけやな。どう?理解できた?

-まあ、なんとなく。

ほんで、この将来負担比率、レッドカードは無いけど、イエローカードはあってな。市町村は350%、都道府県は400%。

-数字になるとあんまりピンとこないですね。

そうやな。まあ、とりあえず「1年間の経常一般財源収入の3.5倍(都道府県なら4倍)の借金があるとヤバい」ぐらいの認識で、いったんいいんとちゃうかな。

-わかりました。

ぐーーっとまとめると、実質公債費比率は「その年の借金返済額の割合」、財政健全化比率は「借金総額の割合」というイメージやな。

ちなみに、ほとんど説明なしに飛ばした実質赤字比率、連結実質赤字比率もイエローとレッドの基準が定められてんねん。例によって、説明は省略するけど。

◆イエローカードとレッドカード

-ところで、イエローとかレッドとかの基準値を超えると財政がヤバいというのは分かったんですが、何かペナルティみたいなものはあるんですか?

ペナルティという言い方がええのか微妙やけど、イエロー(早期健全化基準)を超えると「財政健全化計画」を、レッド(財政再生基準)を超えると「財政再生計画」を作って、報告、公表せなあかんくなる。あと、レッドを超えると地方債借入れのハードルが上がるっていうのもあるな。

-ハードルですか?

うーん、地方債制度の話をしとかんとあかんな。地方債制度は「協議制」って言うて、借入れする前に都道府県知事(または総務大臣)との協議が必要とされてるんやけど、乱暴な言い方をすると協議さえすればよくって、借入れの同意基準(まあ、今は要件に似たようなものと思って差し支えないかな)を満たしていれば借入れができる。でも、レッドを超えると、都道府県知事(または総務大臣)の「許可」が必要になんねんな。

-そうなんですね。

そうやねん。とは言え、イエローとかレッドを超える自治体ってほとんどないけどな。例によって、京都府内の市町村の状況(令和元年度決算)だけ見とこか。

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-ちょっとヤバそうなところもありそうですけど、たしかに超えてるところはないですね。

◆実質公債費比率や将来負担比率は低ければ低い方がよいのか問題

これで健全化判断比率の話はほぼ終了やねんけど、一つ言っとかなあかんことがあってな。

-何でしょう?

実質公債費比率とか将来負担比率は高いとヤバいのは分かったとして、じゃあ、低い方がいいのかという問題。

-それは低い方がいいんじゃないですか。と、思ったんですが、このパターン、どこかで聞いたことあるような気がするんですけど。

冴えてるねぇ。何の話をしたときか、覚えてる?

-・・・。ちょっと思い出せないです。

思い出そうとしてるんは、「実質収支の黒字は大きければ大きい方がいいのか?」の話のところとちゃうか?

-あっ、そうでした。実質収支の黒字が大き過ぎるのは剰余金を溜め込みすぎとも考えられるから、もっと市民さんへの行政サービスにお金を回すか、市民さんの負担を軽減することを検討すべきという話になるというやつですね。

そのとおり。

で、今回の場合はどうや? はたして実質公債費比率とか将来負担比率は低ければ低い方がいいのだろうか。

-いいような気がするんですが。

まぁ、低いにこしたことはないし、健全化判断比率というぐらいやし、比率が低い方が財政的には健全と言えることは間違いない。でも、財政が健全であることと、行政財運営が「適切」であることはイコールではないということは分かるやんな。

-はい。実質収支の話がまさにそうでした。

そうやねぇ。この話をするんやったら、地方債の話をしとかんとあかんな。ま、今日のところはこの辺にしとこか。

-分かりました。ありがとうございます。

全然ええよ。

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