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■えっ!死ぬとか生きるとか、知事命令?
「攻めてるなー、滋賀県」
この本の存在を知ったときの第一印象です。行政が「死」をテーマとして取り扱うということに驚きを禁じえません。
まずもって目を引くタイトル。しかもゆかりの滋賀県が出版となれば、これは読むしかないでしょう。
電子書籍で一気読みしましたが、あまりにおもしろかったので、手元に置いておきたいと思って本も購入した次第です。
滋賀県が企画、実施した「死生懇話会」の記録したものですが、想像する報告書とはあまりに趣が違いました。表紙のイラストのイメージのとおりで、ライトノベルを読んでいるかのようでした。
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なぜ「死」を考えるのか
一つの答えがあるわけではないと思いますが、行政職員として働いている者として、印象的な一節がありました。
「県行政にとって、この懇話会をやったからすぐに新しい施策が見つかるというものではないかもしれない。でもぼくはいろんな人の話を聞いていくうちに、県行政のすべてを貫くものとか、資料一つつくるときの言葉の並べ方とか、使う言葉の一つひとつが、この懇話会をやった人とやらなかった人、この懇話会をやった県とやらなかった県では違ってくるんじゃないのかなと思うようになった。」
三日月大造滋賀県知事の言葉です。この本を読んだだけの感想ですが、なんとなく分かるような気がしますし、大事なことが語られているような気がします。
予想通りの役所あるある
「大変そうやなー、ご担当者の方」
この本の存在を知ったときの、もう一つの第一印象です。
担当者の一人称で綴られているのがこの本の最大の特徴で、担当者の苦悩も書かれており、自分だったらどう考えどう行動するかを想像しながらの読書となりました。突然に異動を命じられて担当になったときの思い、そしてその周囲の反応も含めて「役所あるある」も感じられておもしろかったです。ご担当者の方の真摯さにもまた、感じ入るところがありました。
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何か整理された知識なり情報なりを得るための読書とは違って、あれこれ思いを巡らすための読書となりました。おススメの一冊です。
#書評というほどでもない書評
#えっ !死ぬとか生きるとか、知事命令?