アメリカでデスメタルをする話④ 〜バンドに加入する(後編)〜

先週末は「防音室プロジェクト」の新年会に行き、本格的に販売するにあたって色々話し合ってきました
この防音室、マジでいろんな人にGETしてもらいたい。特に若い人には是非オススメしたい。俺ももっと若い時からこんなの欲しかったw 24時間365日練習できるし、こんなの自宅にあるの最高じゃない?毎日練習するならスタジオ行くより結果的に安くなるし、アイデアをすぐ試せるし。中も限りなく反響を抑えてあるからレコーディングにもピッタリ。
俺経由で買うと安いなんて噂もあったりなかったりw(オーダーメイドやからね) もし気になってる人いたら声かけてください

で、少し間が空いてしまいましたが前回の続きを
とりあえずMannyにstagesのリハーサルスタジオを教えてもらったオレ
Mannyはカスなのでリハーサルスタジオの住所以外一切教えてくれなかったが、もうこうなったら仕方がない

突然行ってやる!

が、よく考えたら、いつあいつらがスタジオにいるかは分からない…
毎日たむろしているのか…はたまた週に一回しか集まらないのか…
僕の家から近かったなら毎日足繁くストーキングしてやってもいいが、なにせ僕の家があるオレンジカウンティーからスタジオまでハイウェイ使って1時間ちょいかかる。アメリカのハイウェイぶっ放して1時間かかるって、まぁ〜相当な距離やで

さぁ困った、が
もう面倒なのでRichにfacebookでメッセージを送ることにした
だってわざわざ行っておらんかったらダルいやん

若干ドキドキしながらRichに「ボーカル募集してるって聞いたんだけどもトライアウトがあるなら受けたい」という旨の連絡をした
それから2日くらいだったかな。Richから返信があった
意外に爽やかな文章だった笑
Richからの返答はどんなだったかはっきりは覚えてないんだけども「ヘイ!連絡ありがとう!トライアウトにすぐ来て欲しいのはヤマヤマなんだけど候補者がけっこうたくさんいるんだ!先に君が歌ってる音源か何か送ってくれないか?」って内容だった….

俺はそこであるYOUTUBEのリンクを送った

そう!

俺はアメリカに来たらこういうシチュエーション絶対あるだろうなと思って準備して来てたのだ!自分の名刺代わりになる音源を!
これからアメリカに単身挑戦したいと思ってる人にも、これはオススメしたい。自分の名刺代わりになるようなデモ音源は、渾身のやつを用意していった方がいい。
俺は渡米前に、俺というボーカルの特徴が一番よくわかるであろうノリの曲を作ってレコーディングしてYoutubeにあげといた

ちなみにそれどんな曲かっていうと….
俺たちWORLD END MANの1st Album "USE MY KNIFE"にも収録されてるBlackest endなんだな〜
けっこうこれいい話じゃない笑?あの曲、実は俺が10年以上前に作った曲なんだな〜
当時は「Blackest end」って曲名じゃなかったし、ボーカルラインもけっこう違うかってんけどね
ただしサビの歌詞とリズム
I am a torture device, You are the tortured soul, kill ya 99 times
(俺は拷問器具、お前は拷問された魂、99回殺してやる)
は変わってない

ピ!

Blackest endのリンクをRichに送って数日が経過
Richから返信が来た

「すげぇクールだ!是非スタジオに来てくれ!」

オラァ!!
見たかボケコラァ!!

日にちは忘れてしまったが、いつだかの火曜日
アメリカに来て4か月
俺はとうとうチャンスをつかんだ


で、スタジオに行った

が!!

誰もいない!!終わった!!
あのデブどもナメてる!!
いや、これは今思えば俺が悪いな。相手メキシコ系アメリカ人だもの
20:00に来いって言われて、20:00キッカリに来た俺が悪い

部屋はカギが締まっていた
俺は部屋の前で待っていた
すると、1人の大男が現れた
ギターのCesarだ。今でもはっきり覚えている。DissectionのTシャツを着ていた。
突然見たこともないアジア人が部屋の前で待っていて、怪しんでるだろうなと思う反面、Richに事情は聞いてるかなと期待しつつ、彼に今日来た理由を説明してみた…
すげぇ優しかったけど、Richから何も聞いてなかったみたいで、なんだか事情はよくわかってないっぽかった…(気まずい)

で、このあとSalとSmoo(ドラム)も続々と現れて、最後にRichが登場した
Richはデカデカと奇妙なレントゲン写真がプリントされているTシャツを着ていた。アルバート・フィッシュが自分の睾丸に針を刺して自慰行為をしていた時のレントゲンらしい….
今思えば、「ぐわ〜!俺も欲しい!」なんだけど当時は、アメリカに来て以来、流行りのデスコアシーン兄ちゃん達としか絡んでこなかったので、自分はとんでもねぇ悪趣味、とんでもねぇアンダーグラウンドな界隈に突撃してしまっているのでは?という恐怖心を覚えた

なにはともあれ、トライアウトがスタート
事前に覚えてこいと言われた3曲
"The burning"
"cadavaric molestation"
"acid bath orgy"
を合わせることに

1曲目 "The burning"
ブルデスをやったことはなかったが、すでになんとなくガテラルは出せてたのでまぁそれなりにヤれてたと思った

で、2曲目…

に行く前に

Rich「You've got the job, Kiyo」
Smoo「yeah, this dude is a beast」

そう、俺1曲でボーカルの座を勝ち獲った
SalとCesarもすごい笑顔で賛成してくれたのを今でも忘れない
そのあとリハの残り時間何したか全然覚えてない


そのあとのことで覚えているのは帰り道の光景
みんなと分かれて家路につき、一人ハイウェイを運転してる時
嬉しくて嬉しくて一人で何度も絶叫しながらハンドルを叩いた
今思い出しても人生で一番嬉しかった
それまでの人生もそれなりにいろいろあったし、これからの人生もいろいろあるだろうけど、俺にとってはあれを超える達成感はなかったし、もう無いような気がしてる
これからWORLD END MANが何かの間違い(笑)で人気が出て、何万人もの前でライブする機会が来るかもしれない。何が起こるかなんて分からない。LAのローカルバンドに加入することなんかよりすごい奇跡が俺に起こるかもしれない。けど、あの瞬間より俺が自分自身を肯定する瞬間はもう来ない気がしてる

俺、実は19歳でアメリカに行って日本帰ってきて、また今回行くまでに日本でやってたバンドでもアメリカでライブしたことがある
そして今回の渡米から帰ってきてからになるが、WORLD END MANでも2016年にアメリカツアーをした
が、それとこれとは完全に別物だ
日本のバンドとして行って、アメリカに行って歓迎されるのって案外簡単だと俺は思う
だいたい事前にみんなが「日本からのバンドだよ〜」って知ってくれてるからね。フライヤーに書いてあるし
若干生ぬるいんだよ。要は"ゲストバンド"やしね。
みんな来日バンドに若干温かいでしょ?アメリカもそれは同じですよ
まぁこれは俺の経験による体感だけどね

でも、1人のミュージシャンとして勝負しに来た今回は認められるまでの難易度が桁違いだった
だって、俺のこと知らないアメリカ人からしたら俺、ただのどこにでもいるアジア人やからね。むこうからしたら日本から来たなんて情報あるわけないし。特別でもなんでもない。実力、個性が無ければ透明人間のような扱いを受けてきた
しかも1日って音楽してない時間の方が長いもんでさ
この孤独な状況、自分にとっては、お前男としてなんぼのもんやねん。という闘いでもあった

思えば1人で遠くまで来たもんだ
運良く4ヶ月という短い期間でここまで辿り着けたが
学校に行ってるわけでもない
会社に行ってるわけでもない
日本にすべて置いてきて毎日孤独に圧倒されてきた
そりゃそうだ。人種のるつぼアメリカにおいても、俺完全によそ者だもの

そんな何も無かった俺が自分の才能でもって
ついにアメリカに迎えられた


それが俺にはとても快感だった

ま〜stages入って、この後すげぇ苦労がたくさん待ってるんだけどね笑

次回はアメリカでデスメタルバンドに入ってみて経験した人種差別についてでも書こうかな

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